派遣・請負 Q&A

派遣、請負などについて、基本的でよくあるご質問にお答えします。


Q: 派遣といってもいろいろな意味で使われているようですが、実際のところ何なのでしょうか。「労働者派遣法の派遣」と他の派遣との違いがあるのでしょうか?

Q: 適正な労働者派遣を行なっていない場合、「労働者供給事業」に該当し違法となる場合があると言われました。「労働者供給事業」とはどのようなものなのでしょうか?

Q: 派遣先から、さらに別の会社に派遣するいわゆる「二重派遣」を行なうことは許されるのでしょうか?

Q: 出向と派遣とは、どこに違いがあるのでしょうか?

Q: 「特定労働者派遣事業」と「一般労働者派遣事業」との違いは何でしょうか?

Q: 請負契約・業務委託契約とはどのようなものでしょうか。労働者派遣との違いはなんでしょうか?

Q: 派遣労働者に時間外労働・休日労働させる場合に三六協定は、派遣元・派遣先のどちらが締結し届出するのでしょうか? また、派遣先が派遣労働者に対する時間外労働・休日労働を命じることについて、違法とはならないのでしょうか?

Q: 製造業を行っていますが、派遣と請負との区別をきちんとつけて行こうと考えています。どのような要件が整えば、適正な請負と認められるのでしょうか?

Q: 発注者から請負事業主への「注文」と「指揮命令」とはどのように区別すべきでしょうか?

Q: 発注者と請負事業主との定期的な業務進捗報告会に、請負事業主に雇用されている労働者が出席することはできないのでしょうか?

Q: 「請負契約書」では、業務内容をどこまで特定すべきなのでしょうか?

Q: 請負で業務を行うにあたって、発注者の設備、機械、装置等の利用する場合には、無料で貸与をうけてはならないと聞きました。その賃料は、どのような点に注意して決定すべきなのでしょうか?

Q: 当社の製品の一部を外注している請負会社の従業員の技術を、当社の選定基準まで引上げたいと思っています。発注者として、請負会社の従業員に対する教育・技術指導を行うことができるのでしょうか?

Q: 請負代金を決める際に、料金を「処理時間×単価×人数」で決定することは許されないでしょうか?

Q: 個人外注(一人親方)に対する業務委託関して、留意することはなんでしょうか?

Q: 派遣といってもいろいろな意味で使われているようですが、実際のところ何なのでしょうか。「労働者派遣法の派遣」と他の派遣との違いがあるのでしょうか?
A: 派遣という言葉は法律用語ではなく、いわゆる労働者派遣法が成立するまで派遣とは種々の意味で使われてきました。 労働者派遣法にいう派遣とは、図Aのとおり、自己の雇用する労働者を第三者の下に送り込み、その指揮命令下で第三者の業務を行わせる形態をいうとされている(派遣法第2条1号) この派遣法以外の「派遣」の中には、いわゆる「店員派遣」や「応援派遣」などが含まれますが、その定義はなく、用いる者によってその内容が異なるといっても過言ではありません。


  一般に「店員派遣」とは、図Bのようにスーパーマーケットやデパート等において、その製造会社の社員がその製品の売り場において売却するという例が挙げられます。その場合は、その社員はスーパーマーケットやデパート等においてその現場の責任者の指揮命令下で、そのスーパーマーケットやデパート等の業務を処理しているわけではありません。すなわち、その場合には、その社員はその売り場を借りて自社の製品を売却しているのであり、スーパーマーケットやデパート業者の指揮命令を受けて、スーパーマーケット、デパートの業務を処理しているのではありません。この場合の店員派遣は、一時的であれば出張、継続的であれば転勤になるものと考えられます。

一般に「応援派遣」とは、一企業内の一事業場の人員不足、能力不足のために、他の事業場から技術者等の社員を臨時に応援するというものです。これは、派遣とはいいながら、出張または転勤といえます。 さらには、「応援派遣」の中には、他の関連会社の応援に行かせることがありますが(図C―1、2)、その場合にも、他の会社の指揮命令に入るのか(図C−1)、自社の指揮命令下で作業するのか(図C−2)によって変わってきます。前者の場合は労働者派遣となりますが、派遣業務に該当するのか問題があります。もし、仮に、派遣業務に該当しないのであれば「出向」として行わざるを得ません。後者の場合には、会社としては他の会社と請負または業務委託を行うこととなり、そこに赴くことは出張または転勤ということになるのです。

  
 
Q: 適正な労働者派遣を行なっていない場合、「労働者供給事業」に該当し違法となる場合があると言われました。「労働者供給事業」とはどのようなものなのでしょうか?
A: 職業安定法は、5条6項で、「この法律で労働者供給とは、供給契約に基づいて労働者を他人の指揮命令を受けて労働に従事させること」をいうとされ、「労働者派遣法第2条第1号に規定する労働者派遣に該当するものを含まないものとする」と規定しています。すなわち、労働者供給の一つの類型から労働者派遣という形態を独立のものとして取扱い、労働者供給から除外することにしたのである。すなわち、労働者派遣業が一定の必要の下に労働者派遣法の規制下で認められることになったが、その際、従来は禁止の対象となっていた労働者供給事業ではなくなった訳です。

なお、労働者派遣業としての許可や届出をなしていない場合の違法な派遣については、未だに労働者供給事業に該当し許されないと誤解しやすいが、そうではなく、労働者派遣という類型自体が労働者供給事業ではなくなったということである。
労働者供給事業は、図Aの四類型に分類することができましたが、このうちCについては労働者派遣事業として労働者供給事業の対象外となったのです。
なお、労働者供給事業は、労働組合が労働大臣の許可を得て行う場合以外は禁止されています(職安法45条)
 
Q: 派遣先から、さらに別の会社に派遣するいわゆる「二重派遣」を行なうことは許されるのでしょうか?
A: 二重派遣とは、派遣先が派遣元事業主から派遣を受けた派遣労働者をさらに、業として第三者に派遣することをいいます。そもそも労働者派遣とは「自己の雇用する労働者を第三者の指揮命令下で働かせること」をいいます(図A参照)。
二重派遣の場合、派遣先は、その派遣労働者と労働契約を締結しているわけではなく、単なる指揮命令権しか有してないのであり、それにもかかわらず、その派遣労働者を別の会社=第三者に派遣することは、その権限を逸脱し許されないことになると考えられます(図C参照)。

         

すなわち、その派遣先は、事実上の支配下にある労働者を第三者に派遣し、その指揮命令下に労働に従事させることになるので、まさにこれは労働者供給に該当することになり(職安法5条6項)、それを反復継続し、またはその意思を持って行うことは労働者供給事業に該当し、違法となるのです(図B参照)。

労働者派遣法は、従来、労働者供給に該当するものの中から、雇用関係という基礎が堅固なものについてはその労働者の雇用条件が安定しており派遣しても問題ないとして、労働者派遣を抜き出して一定の条件の下に法的に認知することになったわけです。職安法も、「この法律で労働者供給とは、供給契約に基づいて労働者を他人の指揮命令を受けて労働に従事させることをいい、労働者派遣法第2条第1号に規定する労働者派遣に該当するものを含まないものとする」(同法5条6項)と改正しています。

この二重派遣は、「自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させること」(派遣法2条1号)である労働者派遣ではないことになり、したがって労働者供給に該当し、業として行えば職安法違反(同法44条)となり刑罰に処せられるということになるのです(同法64条4号)。
 
Q: 出向と派遣とは、どこに違いがあるのでしょうか?
A: 在籍出向とは、元の会社に在籍しながら、他の会社にも在籍して就労する雇用形態をいう(図A参照)。この在籍出向は二重の雇用関係になります。
これに対し、労働者派遣法に基づく派遣とは、元の会社に在籍しながら、他の会社に赴いてその会社の指揮命令下で働く形態をいいます(図B参照)。
いずれも、元の会社に在籍しながら、他の会社の指揮命令下で就労することは共通しており、外形的に見ると差異はないことになります。


しかしながら、結局、その就労する他の会社との関係でも身分関係を取得するか否かという点が違うのです。
すなわち、出向社員の場合は出向先でも人事異動の対象となり、したがって配転、転勤や昇進・降職などを命ぜられることになります。また、その勤務態度・出勤状況、成績などについての査定を受けることになりますし、職場を乱す行為をすれば懲戒処分の対象となるのです。

これに対し、派遣社員の場合は、派遣先会社との関係は就労関係のみであるから、派遣先からの人事異動も査定もありません。単に勤務態度や出勤状況、成績が悪ければ、派遣契約に基づき派遣先から派遣元へと注意をするよう連絡が行ったり、代替要員を派遣するように派遣元たる企業に対して要請することになります。
 
Q: 「特定労働者派遣事業」と「一般労働者派遣事業」との違いは何でしょうか?
A:  特定労働者派遣事業とは、常用雇用される労働者のみを以って行われる労働者派遣事業をいい、一般労働者派遣事業とは、特定労働者派遣事業以外のものをいう。したがって、「常用雇用」の労働者が問題となるわけであるが、この常用雇用労働者というのは、労働契約の形式の如何を問わず、事実上期間の定めなく雇用されている労働者のことをいい、及び身体障害者雇用促進法14条の「常時雇用する」と同義と解されており、次の(1)〜(3)のいずれかに該当するものを言います。

(1) 期間の定めなく雇用されている者
(2)一定の期間(例えば1ヶ月、6ヶ月等)を定めて雇用されている者であって、その雇用期間が反復更新されて事実上@と同等と認められる者。すなわち、過去1年を超える期間について引き続き雇用されている者または採用のときから1年を超えて引き続き雇用されると見込まれる者
(3)日日雇用される者であって、雇用契約が日々更新されて事実上(1)と同等と認められる者。
((2)の場合と同じく、過去1年を超える期間について引き続き雇用されている者または採用のときから1年を超えて引き続き雇用されると見込まれる者)

なぜ、一般労働者派遣事業と特別労働者派遣事業とを区別する必要があるかというと、派遣労働者の雇用管理、雇用の安定等を考慮しなければならないからなのです。すなわち、特定労働者派遣事業の場合、労働者は「常用雇用」を保障されており、労基法等により労働条件も保護され、雇用の安定も図られているため、比較的緩やかに事業を認めても弊害が少ないものと考えられて「届出」でよいのです。これに比し、一般労働者派遣事業においては、常用雇用の派遣労働者のみでなく、登録型の派遣労働者や、雇用されているけれども常用でない派遣労働者もいるのであり、雇用の安定が十分でないおそれがあるため、経営基盤、過去の実績を重視して「許可」を条件とすることとなっています。
 
Q: 請負契約・業務委託契約とはどのようなものでしょうか。労働者派遣との違いはなんでしょうか?
A: 派遣と請負との違いは、図Aと図Bのように理論上は明確になっています。請負契約は仕事の完成を目的として注文主が請負人に仕事の完成を依頼し、それを受け請負人は自らの裁量を持って請負業務を遂行し仕事を完成させ、その対価としての報酬を得ることになります。この請負契約の場合には、その請負人(=契約の当事者)以外に労働者がいることは契約の要素となっておらず、契約を遂行していく過程において請負人がその労働者を使用するか否かは裁量にゆだねられています。
業務委託契約とは、請負契約と類似しているが、仕事の完成を目的とする契約ではなく、事務処理を目的とする点が異なる。そして報酬は、一定の事務処理量に応じて支払われるのが通常です。

 

これに対し、労働者派遣の場合には、「自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させること」(派遣法2条1号)をいい、図Aのように派遣労働者が、派遣元と事業主と派遣先と同様に、表面に登場しており契約の不可欠の当事者となっています。また、請負契約のように仕事の完成を目的とするのではなく、派遣先のために、派遣先の指揮命令の下に、派遣労働者が労務の提供をすることを目的としています。

このように、労働者派遣契約と請負契約・業務委託契約は契約類型がまったく異なっているが、実態は労働者派遣でありながら、労働者派遣法の規則を免れるために、形式を請負契約にすることが現在世間で言われている「偽装請負」なのです。
 
Q: 派遣労働者に時間外労働・休日労働させる場合に三六協定は、派遣元・派遣先のどちらが締結し届出するのでしょうか? また、派遣先が派遣労働者に対する時間外労働・休日労働を命じることについて、違法とはならないのでしょうか?
A: 労働者に、1日8時間または1週間40時間を越えて労働させる場合、または、毎週1日、4週4日の休日に労働させる場合には、事業場ごとに、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、それがないときは過半数を代表する者との書面による協定を結び、所轄の労働基準監督署長に届出なくてはならない。そこで、協定を締結し、労働基準監督署長に届出るのは、派遣元事業主か派遣先かということになるが、この義務を負うのは、派遣元事業主にある(法44条2項)。

したがって派遣元の事業主において三六協定を締結しなくてはならないことになるが、労働者派遣事業を目的とする会社では、労働者の多くは派遣している状態であり、過半数を組織する労働組合があればともかく、過半数を代表する労働者と締結する場合、真の意味で過半数を代表する者であるのか疑問の生じるところである。そのため、派遣元事業主も三六協定を結ぶ場合、派遣労働者各個人にも締結しようとする三六協定の内容を事前に告知できる方法を考慮すべきでありましょう。

また、三六協定を締結した場合に、「派遣先は、その派遣労働者に時間外労働・休日労働を命じることができる」のでしょうか。これについては、(1)三六協定によって時間外労働業務が発生するという見解、(2)時間外・休日労働については、三六協定があっても労働業務は発生せず、労働者の個々の個別的具体的同意が必要であるとする見解、(3)三六協定プラス就業規則・労働協約に時間外・休日労働業務が明記されていればよいとする見解、があったが、日立製作所武蔵工場事件(最高裁平成3年11月28日判決)により、(3)の立場が確定しているので、実務としては(3)に従えばよいものと考える。

もちろん、この場合の就業規則の定めとは派遣元における就業規則の定めとなりますから、派遣元の就業規則において、派遣労働者が時間外労働・休日労働をすることがある旨を定めておれば、36協定の締結とあいまって、可能であるといえるでしょう。
 

Q: 製造業を行っていますが、派遣と請負との区別をきちんとつけて行こうと考えています。どのような要件が整えば、適正な請負と認められるのでしょうか?

A: 「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(昭和61年4月17日労働省告示第37号)によりますと、請負の形式による契約により行う業務に、自己の雇用する労働者を従事させることを業として行う事業主であって、次に掲げる事項全てに該当する場合を請負としています。一つでも、条件に合わないときは労働者派遣事業であるとされています。

「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」
(1、2、3の各項全ての条件に合致するものが請負)

1. 次のイ、ロ及びハのいずれにも該当することにより、自己の雇用する労働者の労働力を自ら直接利用するものであること。

イ 次のいずれにも該当することにより、業務の遂行に関する指示その他管理を自ら行うものであること。

① 労働者に対する業務の遂行方法に関する指示をその他管理を自ら行うこと。
具体的には、労働者に対する仕事の割り付け、順序、緩急の調整等につき、請負事業主が自ら行うものであるか否かを総合的に勘案して行う。「総合的に勘案して行う」とは、これらのうちいずれかの事項を事業主が自ら行わない場合であっても、これらについて特段の合理的な理由が認められる場合は、直ちに当該要件に該当しないとは判断しない(以下、同様)としています。

② 労働者の業務の遂行に関する評価等に係る指示その他の管理を自ら行うこと。
具体的には、労働者の業務の遂行に関する技術的な指導、勤惰点検、出来高査定等につき、請負事業主が自ら行うものであるか否かを総合的に勘案して行う。

ロ 次のいずれにも該当することにより、労働時間等に関する指示その他管理を自ら行うものであること。


① 労働者の始業および終業の時刻、休憩時間、休日、休暇等に関する指示その他の管理(これらの単なる把握を除く。)を自ら行うものであること。
具体的には、受託業務の実施日時(始業および終業の時刻、休憩時間、休日等)について、事前に請負事業主が注文主と打ち合わせているか、業務中は注文主から直接指示を受けることのないよう書面が作成されているか、それに基づいて請負事業主側の責任者を通じて、具体的に指示が行われているか、請負事業主自らが業務時間の実績把握を行っているか否かを総合的に勘案して行う。

② 労働者の勤務時間を延長する場合または労働者を休日に労働させる場合における指示その他の管理(これらの場合における労働時間等の単なる把握を除く。)を自ら行うこと。
具体的には、労働者の時間外、休日労働は請負事業主側の責任者が業務の進捗状況等をみて自ら決定しているか、業務量の増減がある場合には事前に注文主から連絡を受ける体制としているか否かを総合的に勘案して行う。

ハ 次のいずれにも該当することにより、企業における秩序の維持、確保等のための指示その他管理を自ら行うものであること。


① 労働者の服務上の規律に関する事項についての指示その他の管理を自ら行うものであること。
具体的には、労働者に係る事業所への入退場に関する規律、服装、職場秩序の保持、風紀維持のための規律等の決定、管理につき、請負事業主が自ら行うものであるか否かを総合的に勘案して行う。なお、安全衛生、機密の保持等を目的とする等の合理的な理由に基づいて相手方が労働者の服務上の規律に関与することがあっても、直ちに当該要件に該当しないと判断されるものではないと注記しています。

② 労働者の配置等の決定および変更を自ら行うこと。
具体的には、労働者に係る勤務場所、直接指揮命令する者等の決定および変更につき、請負事業主が自ら行うものであるか否かを相互的に勘案して行う。


2. 次のイ、ロおよびハのいずれにも該当することにより、請負契約により請け負った業務を自己の業務として当該契約の相手方から独立して処理するものであること。

イ 業務の処理に要する資金につき、全て自らの責任の下に調達し、かつ、支弁すること。



ロ 業務の処理について、民法、商法その他の法律に規定された事業主としてのすべての責任を負うこと。



ハ 次のいずれかに該当するものであって、単に肉体的な労働力を提供するものでないこと。


① 自己の責任と負担で準備し、調達する機械、設備もしくは機材(業務上必要な簡易な工具を除く。)又は材料若しくは資材により、業務を処理すること。
具体的には、機械、設備、資材等の所有関係、購入経路等の如何を問うものではないが、機械、資材等が相手方から借り入れ又は購入されたものについては、個別の双務契約による正当なものであることが必要である。なお、機械、設備、機材等の提供の度合いについては、単に名目的に軽微な部分のみを提供するにとどまるものでない限り、請負により行われる事業における一般的な社会通念に照らし通常提供すべきものが業務処理の進捗状況に応じて随時提供されていればよいものである。

② 自ら行う企画又は自己の有する専門的な技術若しくは経験に基づいて、業務を処理すること。
具体的には、請負事業主が企業体として有する技術、技能等に関するものであり、業務を処理する個々の労働者が有する技術、技能等に関するものではない。


3. 1及び2のいずれにも該当する事業主であっても、それが労働者派遣法の規定に違反することを免れるため故意に偽装されたものであって、その事業の真の目的が労働者派遣法第2条第1号に規定する労働者派遣を業として行うことにあるときは、労働者派遣事業を行う事業主であることを免れることが出来ない。


  また、厚生労働省から、請負に関する発注者及び請負事業主について、適正に請負が行われているかどうかの指針となるガイドライン及びチェックシートを発表していますので、これらから望まれる適正な請負が明確になります。

 

Q: 発注者から請負事業主への「注文」と「指揮命令」とはどのように区別すべきでしょうか?

A: 請負において、発注者から「指揮命令」を受けることはできません(「指揮命令」を受けることができるのは、発注者に雇用されている労働者と派遣労働者です)。
すなわち、請負事業主は、自己の裁量で業務処理の割り付け、順序、処理方法等を決定し、これに基づいて、請負労働者に対して、請負事業主自らが指示をすることになります。

ところで、発注する業務の内容、仕様変更、及び業務処理方法等は、あくまで「注文」なのですが、それらが詳細であるがゆえに、業務遂行上の指示と受け取られかねないのです。特に、これらの変更を口頭で請負労働者に対して伝達することになると業務遂行上の「指揮命令」と何ら差が無いようにみえてしまい、適正な請負でないと判断される可能性があります。

そこで、このような「注文」内容の変更に該当する仕様変更・業務処理方法の変更等が生じた場合には、発注者側は、請負労働者に対する「指揮命令」と混同されることのないように、まず、書面を以って注文仕様内容を明確にしておくべきでしょう。
また、注文仕様内容の変更等は、あくまでも、発注者から請負事業主という企業間における注文内容の変更であることから、これらを伝達するに当たっては、請負事業主の責任者に伝達すべきであり、個々の請負労働者に対して直接指示すべきではありません。

なお、注文仕様書で特定しきれていない細部の業務内容や具体的仕様等に関して、請負事業主側で、発注者に対して確認することとなっている場合、あるいは、双方協議のうえで決定する場合等は、発注者側担当者と請負事業主の責任者間で協議することとし、発注者側が直接請負労働者に指示説明することのないようにするべきです。

 

Q: 発注者と請負事業主との定期的な業務進捗報告会に、請負事業主に雇用されている労働者が出席することはできないのでしょうか?

A: 定期的に進捗状況の報告会等を開催し、請負事業主の判断で請負労働者が出席することは可能です。しかし、この会議の席上、あるいは、会議終了後に、発注者側から、個の請負労働者に対して、進捗が遅れているので急ぐように等の指示をすることは、発注者側が業務遂行上の緩急につき、請負労働者に指示していると捉えられかねず、そのような指示はすべきではないでしょう。

 

Q: 「請負契約書」では、業務内容をどこまで特定すべきなのでしょうか?

A: 民法上、契約は口頭であっても成立することから、請負契約の場合も、請負契約の場合も、請負契約が成立するためには、契約書の作成自体が、必須条件ではありません。

しかしながら、適正な請負業務と認められるには、請負事業主の独立した事業であることが要件であり、独立した事業として請け負っていることを明確にするためには、請負契約書、業務委託契約書等の書面をもって、両者等の取引契約であること、および双方が負担する権利・義務の範囲を特定すべきです。

請負契約では『請け負った業務を完成すること』、また、業務委託契約では、『受託した業務を遂行すること』が債務の本旨となり、これら受託した業務が履行できない場合には、請負事業主の債務不履行となります。言い換えれば、受託した業務の範囲が、どこからどこまでなのかが明確でなければ、債務不履行責任も曖昧となり、請負事業主としての自己の事業として独立して処理をしていないと判断されかねないのです。最近の労働局の指導等でも、契約書等、書面による調査のみで偽装請負か否かを判断されることも少なくないようです。

そこで、契約書上も、どこからどこまでが受託した業務の範囲内かが分かるように具体的に特定し、他の業務との独立性が明確になるように規定することが必要となります。
なお、この特定は、契約書上では特定が不十分であっても、この契約書を受けて締結される覚書、仕様書等で補充して明記されていれば足りるでしょう。

 

Q: 請負で業務を行うにあたって、発注者の設備、機械、装置等の利用する場合には、無料で貸与をうけてはならないと聞きました。その賃料は、どのような点に注意して決定すべきなのでしょうか?

A: 請負では、請負契約により請け負った業務を自己の業務として当該契約の相手から独立して処理することが要件とされています。
そして、厚生労働省の告示では、労働者派遣事業と区分される請負と認められるために充足する一つの要件として、「次のイ又はロのいずれかに該当するものであって、単に肉体的な労働力を提供するものではないこと」を挙げ、
「イ 自己の責任と負担で準備し、調達する機械、設備若しくは器材(業務上必要な簡易な工具を除く。)又は材料若しくは資材により、業務を処理すること」
「ロ 自ら行う企画又は自己の有する専門的な技術若しくは経験に基づいて、業務を処理すること」
のいずれかを充足することが必要であるとしています。

このうちイの要件について、「労働者派遣事業関係業務取扱要領」によれば、「当該要件は、機械、設備、資材等の所有関係、購入経路等の如何を問うものではないが、機械、資材等が相手から借り入れ又は購入されたものについては、別個の双務契約(契約当事者双方に相互に対価関係をなす法的義務を課する契約)による正当なものであることが必要である」とされています。
そこで、請負事業主が、事業を遂行するために、発注者から機械、設備、装置等を賃貸する場合には、対価関係が認められるような賃料で賃貸する必要があります。特に、ことさら賃料を低く定めた場合には、対価関係が認められず、無償で使用していることと同視されかねないのです。よって、当該機械の一般市場におけるレンタル料や当該設備の減価償却費、固定費等を参考に、合理的な算出方法に基づいて、賃料を決定する必要があります。

また、「労働者派遣事業関係業務取扱要領」によれば、「製造業務の場合」には、発注者から機械、設備等を賃借する場合には、補修および修理に要する経費についても請負事業主が、負担すべきとされているのでこの点については注意を要します。
したがって、機械等の賃貸借契約で、賃料を規定する際に、毎月の補修費用を含めるのであれば、賃料には、補修費用が含まれていること、および当該補修費用はどの範囲を含むのか(通常生じる補修費用か、あるいは、それを超えた分までを含むものか等)、その範囲を超えて補修費用、修理費用が発生した場合には、発注者と請負事業主のどちらが補修費用を負担するか等を決めておく必要があるのです。

なお、本来は、請負契約に伴って生じる機械等の賃貸借については、当該請負契約の契約書上で、機械、設備等の賃貸借に係る条項を規定すれば足りるのですが、「労働者派遣事業関係業務取扱要領」では、「別個の双務契約」を締結することが必要であるとされています。従って、請負契約を締結する際に、機械、設備等を、請負事業主が発注者から賃借する場合には、請負契約とは別に賃貸借契約を締結するのが無難です。

 

Q: 当社の製品の一部を外注している請負会社の従業員の技術を、当社の選定基準まで引上げたいと思っています。発注者として、請負会社の従業員に対する教育・技術指導を行うことができるのでしょうか?

A: 請負においては、請負事業主が、発注者から独立して業務を遂行することが必要であり、そのためには、自社の従業員に対する教育も、請負事業主自らの責任で行うことが前提となります。厚生労働省の告示でも、業務管理上の独立性の要件を充足する要素として「労働者の業務の遂行に関する評価等に係る指示その他の管理を自ら行うこと」が要件とされ、これを受けて各労働局作成のチェックリストでも、「仕事の完成や業務の処理方法の教育、指導は請負事業主自ら行っている」ことが必要とされています。

もっとも、厚生労働省のQ&A(厚生労働省HP「Q&A請負事業において発注者が行う技術指導について」によれば、以下の場合になされる技術指導については、例外的に、発注者が請負労働者に対して技術指導等をすることが許されていると考えられます。

  • イ 新たな設備を借り受けた後初めて使用する場合等
  • ロ 新商品の製造着手時において、発注者が仕様等について補足的な説明を行う場合
  • ハ 発注者が安全衛生上緊急に対処する必要のある事項について、労働者に対して指示を行う場合のもの


  また、「請負事業主のガイドライン」および「発注者のガイドライン」では、請負労働者に対する教育を実施するに当たっては、発注者の協力を得て、発注者側が作成したプログラムを利用することにより教育訓練の充実を図ることが定められている。もっとも、そのような場合であっても、利用料を負担するなどして、請負労働者に対する教育・指導は、請負事業主自らの責任で主体的に行うことが必要とされていることに変わりはありません。
また、OJT方式で発注者側が請負労働者に教育をすることは、事実上、業務遂行上の指示命令をしていることと明確に区別できないことから、避けるべきでしょう。


  ところで、請負事業主がノウハウ等を蓄積して、発注者から独立して業務処理できるようになるまでの間は、労働者派遣契約として、その間に請負事業主としてノウハウを蓄積した上で、請負に変更することは認められています。
しかし、一度請負に変更した後に、請負労働者が日常的に発注者に対して教育・指導を仰いでいては適正な請負とは認められません。そのため、請負に切り替えるに当たっては、事後は、請負事業主自らの社内で、技術・ノウハウ等が伝達できるように、指導・教育体制を構築したうえで、請負に切り替えることが必要でしょう。

 

Q: 請負代金を決める際に、料金を「処理時間×単価×人数」で決定することは許されないでしょうか?

A: 請負では、請け負った仕事の完成を目的としているため、請負代金は、労務の提供に対する対価ではなく、請け負った「仕事」に対する対価として支払われるものです。
そして、請負では請け負った仕事を完成する、あるいは、受託業務を遂行するに当たり、何人かの請負労働者により、何時間掛けて業務を遂行するか等は、すべて請負事業主の裁量に委ねられることであり、請負代金と結び付くものではありあません。

そのため、請負代金を、「処理時間×単価×人数」で算出することは、仕事の対価ではなく、労働の対価として、発注者が請負事業主に支払っているようにとらえられる可能性があるのです。
しかし、告示(昭和61年4月17日労働省告示第37号)の基準では、請負代金に関する基準を設けていないこと、また、本来、適正な請負か否かのメルクマールとしては、発注者側が請負労働者に対して業務遂行に関して指揮命令をしないことが重要であること等からすれば、請負代金の算出方法が人工制にしていることの一事をもって、直ちに「偽装請負」になるものではないとする考え方もあります。

特に、上記告示において、請負としての要件を充足するとして掲げられている(2−(3)参照)、
「イ 自己の責任と負担で準備し、調達する機械、設備若しくは器材(業務上必要な簡易な工具を除く。)又は材料若しくは資材により、業務を処理すること」
「ロ 自ら行う企画又は自己の有する専門的な技術若しくは経験に基づいて、業務を処理すること」
のうち、ロに該当する請負については、行政による「派遣と請負の区分基準のチェックポイント」において、「請負代金は、{労務単価×人数×日数または時間}となっていない(ただし、高度な技術・専門性が必要な場合や合理的理由のある場合を除く)」と記載されていることからも、請負代金の決定方法を「処理時間×単価×人数」としても構わないという考え方もあるのです。ただし、現時点で「高度な技術・専門性が必要な場合」が何を指すのかが明らかにされておらず、行政当局との見解の相違が生じる可能があり、この考え方を採用する場合は、慎重になるべきでしょう。

 

Q: 個人外注(一人親方)に対する業務委託に関して、留意することはなんでしょうか?

A: 個人外注や一人親方と呼ばれる立場で業務を行う人達がいます。これらの人については、二つの観点からの留意すべきことが考えられます。

一つ目は、本当に、業務委託という形態が適正に行われているかということ、すなわち、もっと端的に言えば、「実際は、個人外注(一人親方)という名称だけで、直接雇用されている労働者ではないのかどうか」という点です。
受託者が個人外注(一人親方)、すなわち個人であったとしても、契約形態が「業務委託契約」である以上は、実態として発注者から独立して業務処理をすることが、その要件であることに変わりはありません。
そのため、一人親方等が、発注者との間で、個人業務委託契約を締結しているにもかかわらず、発注者からの「指揮命令」を受け、それに従って労務の提供をし、これに対して発注者が当該一人親方に対して対価を支払う場合、すなわち、発注者との間に使用従属関係があり、その対償として「賃金」が支払われていると認められる場合には、もはや、発注者と一人親方との間の関係は「業務委託契約」とは認められず、「雇用契約関係」が認められることになります。個人外注(一人親方)は、発注者が直接雇用する労働者に該当することになるのです。

なお、この「労働者」の判断については、労働基準法研究会報告「労働基準法の『労働者』の判断基準について」(昭60.12.19)や、藤沢労基署長(大工負傷)事件(最高裁一小 平19.6.28判決)、横浜南労基署長(旭紙業)事件(最高裁一小 平 8.11.28判決)などの基準により、個人業務委託として認められるには、次に掲げる要件を満たす必要があるとされます。

  1. @仕事の依頼、業務従事の指示等に対して諾否の自由を有していること
  2. A業務遂行上の指揮監督を受けていないこと
  3. B受託した業務以外の業務に従事することがないこと
  4. C勤務場所および勤務時間等が指定されていないこと
  5. D本人に代わって、他の者が代替して業務を遂行することが認められていること
  6. E報酬が時間給を基礎としていないこと
  7. F報酬は給与とし源泉徴収を受けておらす、事業者として報酬を受け、業務遂行上必要な費用を負担し、その報酬の程度からみても、独立した事業者と認められること


二つ目は、労働者供給の問題に抵触しないかということです。個人外注や一人親方等の個人業務委託の場合における業務委託契約自体は、「自己の雇用する労働者または自己の支配関係にある労働者を供給契約によって他人に使用させる」である労働者供給には、該当しません。

しかしながら、個人業務委託契約に基づき、一人親方等が、発注者ではなく、他人の指揮命令の下に当該他人のために業務を遂行する場合には、労働者供給に該当しかねない場合があるのです。すなわち、発注者から業務委託を受けた事業者が、自己の受託した業務を、個人業務委託者に再委託し、この再委託契約に基づいて、個人業務委託者、契約当事者である再委託者ではなく発注者の指揮命令の下で業務を遂行すること、すなわち、第三者(他人)である発注者に対して役務の提供をする場合には、労働者供給に該当することになるのです。このような労働者供給となることがないように、当該一人親方が発注者等の指揮命令を受けることなく、発注者等から独立して受託した業務を遂行できるようにしなければなりません。