企業が人事・賃金制度を設ける目的はおおまかに3つあるでしょう。
これらのうち、中小企業にとっては、①と②が主たる目的となるでしょう。大企業のように人数が多くてひとりひとりの顔がまったく見えない状況であれば、③の管理という側面も強くなりますが、中小企業であれば、まずは、人材育成のためと位置づけ、そこに処遇が連動すると考えるべきです。 しかし、これらよりもう一段階上にあるより大きな根幹ともいえる目的は、『企業の業績向上へ結びつける』です。
◆確かに、会社はAさんを営業マンとして育成し、その結果を処遇に反映させています。しかし、Aさんのおかげで会社は一時的に売上を上げたのですが、結局部署や全社的に見れば、業績のマイナスを導いてしまったのです。このようなことを招くのであれば、業績向上を実現させる人事・賃金制度とはとてもいえません。 ◆実は、そもそも「営業マン全体の力が足りないので、後輩育成が必要であった」とか、「事務員の残業が問題になっていたのに、その業務配分を考えた行動を皆が取らなければならなかった」というような課題があったとしたらなら、それを無視して制度に組み入れるということをしていなかったのは問題です。 ◆つまり、育成や処遇への対応が目的といっても、それが会社業績の向上に相反するものでは、全く意味をなしません。人事・賃金制度が『経営』のためのツールであることを考えれば、利益を出し会社の業績を少しでもよいものとするための制度であるべきであるし、そのように運用されるべきものです。 |