役立ちNEWS解説 2008年2月15日 

 後期高齢者医療制度について


 現在「75歳以上」と「65歳から74歳で一定の障害がある人※」は、国民健康保険、被用者健康保険などの医療保険と「老人保健制度」を利用していただいていますが、平成20年4月からはこれらの制度から脱退していただき、新たな医療保険制度である「後期高齢者医療制度」に加入することになります。

※一定の障害のある方とは…

  • ・身体障害者手帳1級から3級所持者(視野障害2,3級は除く)
  • ・身体障害者手帳下肢障害4級1、3、4、号、音声言語障害4級所持者
  • ・愛護手帳1、2度所持者
  • ・精神障害者保健福祉手帳1、2級所持者
などが該当します。

 

▼後期高齢者医療制度の重要ポイント
  • ●後期高齢者医療制度加入後は、国民健康保険・被用者保険の被保険者ではなくなります。
  • ●老人保健医療受給者証と健康保険証は使えなくなり、新しい被保険者証が交付されます。
  • ●老人保健制度と同様の医療給付が受けられます。
  • ●被保険者から保険料を徴収します(原則年金天引き)
  • ●窓口業務(申請受付、保険者証の引渡しなど)、保険料の徴収事務は市町村が行います。
  • ●被保険者の資格管理、保険料の賦課、給付、財政運営などの事務は後期高齢者医療広域連合が行います。


【現行の老人保健制度と後期高齢者医療制度との比較】

  現行の老人保健制度
(平成20年3月まで)
後期高齢者医療制度
(平成20年4月から)
運営主体 市町村 後期高齢者医療広域連合
(都道府県区域ごとに全ての市町村が加入する広域連合)
・広域連合:後期高齢者医療事務
(被保険者の資格管理、保険料の賦課、医療費給付等)
・市町村:保険料の徴収及び窓口業務
被保険者 ・75歳以上の者
・65〜74歳の一定以上の障害を有する者(認定を受けた者)
同左
※認定は後期高齢者医療広域連合にて行う
保険料 ・老人保健での保険料は発生しない
・各医療保険制度の保険料を負担する
・被用者保険者の被扶養者には保険料はかからない
患者負担を除く、総医療費の1割を保険料として負担する
高齢者の
患者負担
・70歳以上は原則1割
※現役並みの所得を有する者は3割
・70〜74歳は原則2割
・75歳以上は原則1割
※現役並みの所得を有する者は3割
給付 ・療養の給付
・医療
・入院時食事療養費
・入院時生活療養費
・保険外併用療養費
・訪問看護療養費
・療養費
・移送費
・特別療養費
・高額療養費
・高額医療費

現行の老人保健制度と同じ給付と平成20年4月に新設される高額介護合算療養費および広域連合の条例で規定された給付
加入形態 それぞれの医療保険および市町村が行う老人保健医療制度に加入 これまでの医療保険を脱退し、広域連合が運営する後期高齢者医療保険制度に加入
保険証 ・老人保健医療受給者証
・国民健康保険、健康保険組合などの保険者証
新しい被保険者証を交付
※これまでの老人保健医療受給者証と健康保険証は使えなくなります
法的根拠 老人保健法、健康保険法 高齢者の医療の確保に関する法律

【保険料率について】

1.後期高齢者医療広域連合の区域内で原則均一

よって、区域が異なれば保険料が異なることとなります。

2.保険料賦課

●被保険者個人単位で算定・賦課されます
●保険料の算定方法は
応益割(定額部分)と応能割(所得比例部分)とを1:1の比率で合算した金額となります。
→応益割(定額部分)=「被保険者均等割」
→応能割(所得比例部分)=「所得割」

保険料の算定方法(平成20年度推計、厚生労働省試算) 保険料の算定方法

3.保険料収納

  後期高齢者医療の被保険者は、保険料を納付する必要があります。保険料は個人単位に請求され、「特別徴収」と「普通徴収」の納付方法に分かれます。
1)特別徴収
年額18万円以上の年金受給者は、年金からの天引きされる特別徴収の対象者となります。
※ただし、介護保険料とあわせた保険料額が年金額の1/2を超える場合には、普通徴収となります。
2)普通徴収
特別徴収の対象者以外の方やその他事情のある方は、口座振替等の方法により市町村に納めます。

4.保険料の軽減

1)低所得者
低所得者については、世帯の所得水準に応じて保険料が軽減されます。軽減の割合は、保険料の応益割部分の水準に応じて、7割、5割又は2割を軽減されます。

2)被用者保険の被扶養者
被用者保険の被扶養者として保険料を負担してなかった方についても、保険料負担がかかることになっていますが、法律施行時から時限的に、平成20年4月から9月までの6ヶ月間は無料、平成20年10月から平成21年3月までの6ヶ月は、被保険者均等割が9割軽減された額となることが決定しています。
昨年の制度改正では、被用者保険の被扶養者の方は、後期高齢者医療制度の被保険者となった日の属する月から2年間、被保険者均等割を5割軽減されることとなっていますが、上記の措置は、これに加えて行われるものです。