役立ちNEWS解説 2008年5月15日 

 正社員への転換を支援する「中小企業雇用安定化奨励金」


若年層人口の減少に伴った人材不足の中、安定的な人材の確保に向け、パートタイマーや契約社員を正社員化する動きが見られています。この流れの中、国は有期労働契約で働く労働者の雇用を安定させるために、平成20年4月1日より中小企業雇用安定化奨励金という助成金を開始しました。

この助成金制度は中小企業事業主が平成20年4月1日以降に転換制度を導入し、契約社員やパートタイマーなど期間を定めて雇用している従業員を新たに正社員に転換させた場合に支給されるものであり、以下の2つの奨励金から成っています。


(1)転換制度導入奨励金
転換制度を導入してから3年以内に、この制度を利用して有期労働契約者を1人以上正社員に転換させたとき。支給金額:35万円

(2)転換促進奨励金
転換制度を導入してから3年以内に、3人以上正社員に転換させたとき。これは、(1)の奨励金を受給した事業主が対象。支給金額:対象労働者1人について10万円(ただし10人を限度)。
※対象労働者の中に母子家庭の母等がいるときに拡充措置あり。

対象となる中小企業事業主


(1)雇用保険の適用事業主であること。
(2)資本金額あるいは労働者数が、以下の範囲内であること

業種 資本金額 労働者数
製造業・その他の業種 3億円以下 300人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
サービス業 5千万円以下 100人以下
小売業 5千万円以下 50人以下

対象となる労働者


(1)、(2)のいずれかに当てはまる労働者を正社員に転換したとき
(1)有期労働契約者として6ヶ月以上雇用され、雇用保険の被保険者であること
(2)有期労働契約者として6ヶ月以上雇用されているが、雇用保険の被保険者でない者については、次のa、bのいずれかの条件を満たしていること
a.ハローワークの紹介(厚生労働省の認可を受けた無料・有料職業紹介事業者からの紹介もOK)で採用されていること
b.上記以外の者(たとえば求人媒体によって採用した者)であっても、有期労働契約を更新した際に労働条件の変更によって、雇用保険の被保険者となり6ヶ月以上勤務していること

支給申請期間

1.転換制度導入奨励金
対象労働者を正社員に転換し、正社員としての賃金が1ヶ月分支給された日の翌日から1ヶ月以内。
2.転換促進奨励金
正社員に転換した3人目の者に対して、正社員としての6ヶ月分の基本給を支給した日の翌日から1ヶ月以内。 


申請窓口


各都道府県労働局職業安定部
改正パートタイム労働法においても通常の労働者への転換の推進が求められていることもあり、今後、多くの企業で有期契約社員の正社員登用制度の導入が進められると予想されています。そうした取り組みを行う際にはこの助成金を活用したいものです。


Q1:有期雇用の派遣労働者を正社員に転換した場合は、支給の対象となりますか?
A1:この助成金の対象となる有期雇用者に派遣労働者は含みません。
 
Q2: 当社にはパート社員を正社員に転換する制度が既にありますが、平成20年4月1日以降に、この転換制度を活用して正社員に転換させた場合、奨励金の対象となりますか?
A2:平成20年4月1日以降に、初めて、労働協約または就業規則に正社員への転換制度を定め、実際に転換した場合に支給対象となります。したがって、転換制度を平成20年3月31日以前に既に定めている場合は対象となりません。
 
Q3:有期契約労働者とは?
A3:契約社員、嘱託社員、パートタイマーなど、名称に係わらず事業主と期間の定めのある労働契約を結んでいる労働者をいいます。
 
Q4:この助成金の支給の対象労働者とは?
A4:次のとおりです。
①通常の労働者への転換前に、有期契約労働者として6か月以上雇用され、その間、雇用保険の被保険者であること
②通常の労働者への転換後も引き続き雇用されることが見込まれること などです。
 
Q5:勤務成績の良い契約社員を対象に転換制度を創設し、本人が希望する場合に正社員に転換させようと考えていますが対象となるのでしょうか?
A5:就業規則などに転換条件が明示され、かつ、転換制度の運用が公平であることが必要です。したがって、全ての従業員(対象労働者でない方も含む)に転換条件が明示(回覧や掲示板への掲示など)され、かつ、要件を満たす希望者が応募できる制度であることが必要です。これらの条件が満たされれば対象となります。