役立ちNEWS解説 2010年1月8日掲載

 平成22年度雇用保険改正案について


平成22年度は、雇用保険適用する対象者が増加し、雇用保険料もUP!?

平成21年12月8日の閣議で「明日の安心と成長のための緊急経済対策」(PDF:523KB)と題された経済対策が決定されました。その中の雇用対策としては以下の事項が掲げられていました。

【緊急対応】

  • (1)雇用調整助成金の要件緩和
  • (2)貧困・困窮者支援の強化
  • (3)新卒者支援の強化
  • (4)緊急雇用創造の拡充
  • (5)保育サービスの拡充等女性の就労支援

【成長戦略への布石】

  • (1)雇用・生活保障システムの確立
  • (2)「雇用戦略」の本格的な推進

これに付随して、雇用保険に関しては「非正規労働者に対するセーフティネット機能強化の観点から適用範囲の拡大について検討を進める」とされ、『第53回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会』によって、雇用保険制度の見直しの方向に関する資料が公開されました。報道にもありましたように、その資料では、以下のような改正に関する意見が報告され、施行される可能性が高いとされています。
雇用保険部会報告書の内容はこちら(PDF:220KB)


1.雇用保険の適用範囲の拡大


雇用保険被保険者の適用基準を、現行の「週所定労働時間20時間以上、6ヶ月以上雇用見込み」から、「週所定労働時間20時間以上、31日以上雇用見込み」の者に拡大すべきだとされています。その場合、被保険者資格の取得の手続について、事業主の事務負担が増加することを考慮し、被保険者資格取得届において必要とされている添付書類について、簡素化を図るべきだと意見が付されています。


2.雇用保険に未加入であった者への対応


事業主が被保険者資格取得の届出を行わなかったことにより、雇用保険に未加入となっていた者については、現行制度においては、被保険者であったことが確認された日から2年前まで遡及して適用できることになっています。

しかし、2年以上前の期間において事業主から雇用保険料を控除されていたことが給与明細等により明確に確認された場合については、事業主が届出を行わなかったことにより所定給付日数が短くなる不利益が労働者に生じないようにするため、2年を超えて遡及して適用できることとすべきであるとされています。


3.雇用保険料について


雇用保険料は、失業等給付に係る雇用保険料を労使が折半で負担し、さらに使用者は雇用保険二事業に係る保険料も負担しています。保険料率が平成22年度(平成22年4月〜平成23年3月)から変更になるのではないかと言われています。
「第53回労働政策審議会職業安定分科会 雇用保険部会」の報告書によれば、下表のような変更案が挙がっています。

  雇用保険料率 失業等給付分 雇用保険二事業分
平成21年度 11/1000 4/1000 4/1000 3/1000
平成22年度からの改正案 15.5/1000 6/1000 6/1000 3.5/1000

すなわち、会社(事業主)は、雇用保険料の負担は、平成21年度は0.70%であるところ、平成22年度から、0.95%となる可能性が高いです。