役立ちNEWS解説 2011年7月8日掲載

 企業の熱中症対策


平成22年の気温の高さは、熱中症への注目度を非常に上げました。今年は、節電の影響や6月に急激に高温多湿な状況となったことから、熱中症で死亡したり重篤な状況になる方の人数が昨年より、現時点で大変に多くなっていることは連日の報道でご存知のところと思います。
大切な従業員が倒れたり、万が一亡くなられたりしたら、本当に悲劇ですし、大きな損失ですね。加えて、企業側には、労働者に対する『安全配慮義務』という大きな大きな義務が課せられています。何かあったときに、この義務を果たしていないと判断されると極めて大きな損害賠償を請求されることもあります。

今年は、厚生労働省より、節電のこともあってか、昨年以上に様々な対策を呼びかけたり、具体的な予防法を記載したリーフレットが配布されたりしています。
例えば、製造業の作業管理において、
「休憩時間をこまめに設けて連続作業時間を短縮するほか、WBGT(※)値が最も高くなり、熱中症の発症が多くなり始める午後2時から4時前後に長目の休憩時間を設ける等、作業者が高温多湿環境から受ける負担を軽減すること。」
などという具体策が示されています。

※WBGT(湿球黒球温度)とは、 「人体の熱収支に影響の大きい湿度、輻射熱、気温の3つを取り入れた指標で、乾球温度、湿球温度、黒球温度の値を使って計算した値」です。そして、その値ごとに、どの程度の運動をしてよいかの指針が示されています。


■運動に関する指針

気温(参考) WBGT温度 熱中症予防のための運動指針
35℃以上 31度以上 運動は
原則中止
WBGT温度が31度以上では、皮膚温より気温の方が高くなる。特別の場合以外は運動は中止する。
31〜35℃ 28〜31度 厳重警戒 熱中症の危険が高いので激しい運動や持久走など熱負担の大きい運動は避ける。運動する場合には積極的に休息をとり水分補給を行う。体力低いもの、暑さに慣れていないものは運動中止。
28〜31℃ 25〜28度 警戒 熱中症の危険が増すので、積極的に休息をとり、水分を補給する。激しい運動では、30分おきくらいに休息をとる。
24〜28℃ 21〜25度 注意 熱中症による死亡事故が発生する可能性がある。熱中症の兆候に注意するとともに運動の合間に積極的に水を飲むようにする。
24℃まで 21度まで ほぼ安全 通常は熱中症の危険性は小さいが、適宜水分の補給は必要である。市民マラソンなどではこの条件でも熱中症が発生するので注意。

日本体育協会(1994) 熱中症予防のための運動指針より

■作業者に関する指針

代謝率区分 WBGT基準値(℃) *1
熱に順化している人 熱に順化していない人 *2
0(安静) 33 32
1(低代謝率:軽作業) 30 29
2(中程度代謝率:中程度の作業) 28 26
  気流を感じ
ないとき
気流を感じ
るとき
気流を感じ
ないとき
気流を感じ
るとき
3(高代謝率:激しい作業) 25 26 22 23
4(極高代謝率:極激しい作業) 23 25 18 20

備考 これらの数値は最高直腸温度38℃を許容限度として設定されている。
  JIS Z 8504指数に基づく作業者の熱ストレスの評価−暑熱環境 より
*1 基準値が限度を超えた場合、適切な方法によって熱によるストレスを軽減する必要がある。
*2 順化していない人とは、作業する前の週に毎日熱にさらされていなかった人をいう。

出展:独立行政法人 国立環境研究所データより


経営者や人事労務ご担当者は、下記から、必要な資料をダウンロードしてみてください。何かあった後、知らなかったでは済まされないと思われます。

▼熱中症を防ぐため〜国民の皆さまに取り組んでいただきたいこと〜
 ※熱中症予防リーフレットがダウンロードできます。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001ei44.html

▼『平成23年の職場における熱中症予防対策の重点的な実施について』
 ※建設業、製造業、事務所における具体的な熱中症対策が記載されています。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001dwae.html