役立ちNEWS解説 2008年2月15日
店長にも残業代を支払う必要あり!
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企業名 | 店長の扱い | 残業代 | 備考 |
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日本マクドナルド | 管理職 | 不支給 | |
日本KFC | 一般職 | 支給 | |
モスフードサービス | 管理職 | 不支給 | 制度変更 |
すかいらーく | 管理職 | 不支給 | |
ロイヤルホールディングス | 管理職 | 不支給 | |
リンガーハット | 管理職 | 支給 | |
ドトールコーヒー | 管理職 | 支給 | |
グルメ枡屋 | 一般職 | 支給 | |
ユニクロ | 管理職 | 不支給 | |
しまむら | 管理職 | 不支給 | |
青山商事 | 管理職 | 不支給 | |
コナカ | 一般職 | 支給 | 裁判調停合意 昨秋改正 |
TSUTAYA | 管理職 | 不支給 | |
日本トイザらス | 管理職 | 不支給 | |
ヤマダ電機 | 管理職 | 不支給 | |
セブンーイレブン・ジャパン | 一般職 | 支給 | 平成20年3月から |
ローソン | 一般職 | 支給 | |
ファミリーマート | 一般職 | 支給 |
これらのうち、セブンーイレブン・ジャパンは、平成20年2月8日、日本マクドナルド訴訟判決を受け、管理職としている店長に3月から残業代を支払う方針を明らかにしました。同社の直営店に勤務する約500人が対象となる。管理職としての位置づけは変えないが、「店長手当」を減らす代わりに、残業代をすべて支払うことにするとのことです。同社は残業時間の短縮に取り組むことで人件費の増加を抑えたい、としています。
労働基準監督署における調査・監督においても、ここ最近、『管理監督者』に対する未払い残業代に関する指導が増えてきましたが、今回の事件をきっかけに、いっそう厳しくなることも予想されます。なお、『管理監督者』かどうかという判断自体は、行政である労働基準監督署は、裁判所とは違いできません。しかしながら、監督署サイドの判断で支払えという行政指導は勿論してきますし、悪質なものであれば、司法処理(刑事罰を与えるために書類送検)もしていく方針だということを聞いています。
今現在でも、会社が管理監督者と定めたから(例えば課長になったから)残業手当は支払わないという運用をしておられる企業は多いと思います。しかし、法律では通りません。労働基準法の『管理監督者』にあたるかどうかの判断要素は以下のとおりとされています。
- ① 労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にあるか
⇒例:社員の採用・労働条件の決定について権限を有しているか - ② 名称にとらわれず実質的に管理監督者としての権限と地位を与えられているか
⇒例:名前だけの店長で、実際は、一般社員と同様の職務内容ではないか - ③ 出社退社等の労働時間について厳格な制限を受けていないか
⇒例:時間拘束、時間管理をされていないか? - ④ 地位に相応しい賃金面での待遇がなされているか
⇒例:役職手当としてある程度の金額が上乗せされているか
(2、3万円程度では相応しいとは言えないでしょう)
外食業、小売業における店長を、法律が望むとおりの『管理監督者』とするのは、経営上ほとんど不可能でしょうし、中小企業における他の業種においても、いわゆる管理職についても、4つを満たす本当の『管理監督者』は、役員位しかいないでしょう。ですから、この管理監督者に関する今回の判決の影響は大きく、何らかの対応策を考えねばならないでしょう。
では具体的にどのように対応していくかといえば、
まずは、店長(他の業種であれば課長)の管理監督者扱いをやめることを前提に、
- ① 仕事のプロセスの見直して無駄を省くとともに、パート等の活用による店長の労働時間削減
- ② 特例事業場に該当する場合は、所定労働時間を、週44時間へ
- ③ 変形労働時間制をうまく適用させる
- ④ 賃金体系の見直し(残業代を含んだ給与体系への変更)
経営者にとっては、頭の痛い問題ではありますが、他方、今回の日本マクドナルド事件のように、『過重労働』という問題をはらんでいる場合も多いです。残業代の問題も然りですが、大事な人材を失ってしまったらどうしようもありませんので、真剣にこの問題に取り組んでいくべきだと考えます。