労務管理勉強室 2009年9月19日   ◆この記事は2ページあります
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 未払賃金立替払制度(1/2)


 会社が倒産してしまったときに、未払いだった賃金があった場合、どうなるのでしょうか。
 特に、中小企業では、法的手続きをとらないまま、未払いが続き事業閉鎖して事実上の倒産という事態になるケースもすくなくなりません。
 そういった場合に、従業員側が利用できる(会社のための制度ではありません)未払賃金立替払制度というものがあります。今回は、これについて掘り下げます。




◆未払賃金立替払制度とは

 「未払賃金立替払制度」とは、「賃金の支払の確保等に関する法律」(以下「賃確法」という。)に基づき、企業が「倒産」したために賃金が支払われないまま退職を余儀なくされた労働者に対して、その未払賃金の一定の範囲について、独立行政法人労働者健康福祉機構(以下「機構」という。)が、事業主に代わって支払う制度です。

 ただし、倒産したからといって、自動的に機構が労働者に支払ってくれるのではなく、労働者が請求して(法律上の破産の場合は、大概は弁護人が代理で請求)初めて立替払いがなされます。また、個人ごとの請求となります。

◆未払賃金立替払制度の対象となる倒産とは

1.法律上の倒産

 破産法に基づく破産手続きの開始、会社法に基づく特別清算の開始、民事再生法に基づく再生手続の開始又は会社更生法に基づく更生手続の開始について裁判所の決定又は命令があった場合


2.中小企業における事実上の倒産

 事業活動に著しい支障を生じたことにより、労働者に賃金を支払えない状態になったことについて労働基準監督署長の認定があった場合、具体的には、

  • ① 事業活動が停止し、
  • ② 再開する見込みがなく、
  • ③ 賃金支払能力がない状態になった
ことをいいます。


  資本の額または出資の金額 常時雇用する労働者数
一般産業(卸売業、サービス業、小売業を除く) 3億円以下の法人 300人以下
卸売業 1億円以下の法人 100人以下
サービス業 5千万円以下の法人 100人以下
小売業 5千万円以下の法人 50人以下


◆立替払を受けることができる場合とは

勤めていた事業所(使用者)の条件

① 労働者災害補償保険(労災保険)の適用事業で1年以上事業活動を行っていたこと(法人、個人の有無、労災保険の加入手続きの有無、保険料納付の有無は問いません)。
②上記の1.法律上の倒産又は2.事実上の倒産に該当することとなったこと。


労働者の要件


① 倒産について裁判所への破産申立等(事実上の倒産の場合は、労働基準監督署長への認定申請)が行われた日の6か月前から2年の間に退職していること。
② 未払賃金があること(ただし、未払賃金の総額が2万円未満の場合は立替払を受けられません)。

立替払いの対象者


◆立替払の対象となる賃金とは

 立替払の対象となる未払賃金は、請求する労働者の退職日の6か月前の日から(機構に対する)立替払請求の日の前日までの間に支払日が到来している「定期的な賃金」及び「退職金(退職手当)」で未払いのものに限られます。
 賞与その他臨時的に支払われる賃金、解雇予告手当、賃金に係る遅延利息、慰労金や祝金名目の恩恵的又は福利厚生上の給付、実費弁償としての旅費日当等は対象にはなりません。

立替払いの対象となる賃金とは


◆立替払の請求ができる期間は

 裁判所の破産等の決定(1)又は労働基準監督署長の倒産の認定(2)があった日の翌日から起算して2年以内です。 この期間を過ぎてしまった場合は立替払を受けることはできません。

立替払いの請求期間


◆立替払される額は

 立替払される賃金の額は、未払賃金総額の8割です。ただし、未払賃金総額には、退職日の年齢に応じて限度額が設けられており、未払賃金総額が限度額を超えるときはその限度額の8割となります。

退職日における年齢 未払賃金総額の限度額 立替払上限額
45歳以上 370万円 296万円
30歳以上45歳未満 220万円 176万円
30歳未満 110万円 88万円


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