労務管理勉強室 2008年5月15日 

 有期雇用と関連法規(2/2)


【育児・介護休業法】

1.育児休業【第5条】


平成17年4月1日より、期間雇用の従業員についても育児・介護休業が取れることになりました。期間雇用者で育児休業の対象となるのは、以下のいずれの要件も満たした場合です。
1)同一の事業主に引き続き雇用された期間が1年以上であること
2)子が1歳を超えて引き続き雇用されることが見込まれること
ただし、子が1歳に達する日から1年を経過する日までの間に労働契約期間が満了し、労働契約の更新がないことが『明らか』である場合は、除きます。
「1歳到達日を超えて引き続き雇用されることが見込まれる」かどうかは、育児休業申出のあった時点で判明している事情に基づいて判断されます。
労働契約の更新可能性についての書面又は口頭での明示内容から判断されますが、明示がないときは、雇用の継続の見込みに関する事業主の言動、同様の地位にある他の労働者の状況、当該労働者の過去の契約の更新状況等の実態を見て判断されます。

<育児休業が出来る場合>
1)申出時点で締結している労働契約の期間の末日が子の1歳到達日後の場合


2)書面又は口頭で労働契約の更新可能性が明示されており、申出時点で締結している契約と同一の長さで契約が更新されたならば、その更新後の労働契約の期間の末日が子の1歳到達日後の場合


3)書面又は口頭で労働契約が自動更新であると明示されている場合で、更新回数の上限が明示されていない、又は更新回数の上限が明示されているが、その上限まで契約が更新された場合の労働契約の期間の末日が子の1歳到達日後の場合


 <育児休業が認められない場合>

1)書面又は口頭で労働契約の更新回数の上限が明示されており、その上限まで契約が更新された場合の労働契約の期間の末日が子の1歳到達日以前の場合


2)書面又は口頭で労働契約の更新をしない旨が明示されており、申出時点で締結している労働契約の期間の末日が子の1歳到達日以前の場合


3)書面又は口頭で労働契約の更新可能性が明示されているが、申出時点で締結している契約と同一の長さで契約が更新されても、その更新後の労働契約の期間の末日が子の1歳到達日以前の場合


2.時間外労働の制限【第17条】

期間雇用であるなしに関わらず、次に掲げる場合をのぞき、学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者が請求した場合は、一月について24時間、一年について150時間を、超えて労働時間を延長させることはできません。

  1. 1)日々雇用される労働者
  2. 2)勤続1年未満の労働者
  3. 3)配偶者が子を養育できる状態である労働者
  4. 4)週の所定労働日数が2日以下の労働者
  5. 5)所定労働時間の全部が深夜にある労働者

3.深夜業の制限【第19条】

期間雇用であるなしに関わらず、次に掲げる場合をのぞき、学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者が請求した場合は、深夜時間を延長させることはできません。

  1. 1)日々雇用される労働者
  2. 2)勤続1年未満の労働者
  3. 3)保育ができる同居の家族がいる労働者
  4. 4)週の所定労働日数が2日以下の労働者
  5. 5)所定労働時間の全部が深夜にある労働者

4.勤務時間の短縮等の措置【第23条】

期間雇用であるなしに関わらず、1歳(若しくは1歳6ヶ月)に満たない子を養育する労働者以下に示すような勤務時間短縮等の措置を行う義務があります(1〜3歳までの子を養育する場合は、努力義務)。

  1. 1)短時間勤務の制度
    1. ① 1日の所定労働時間を短縮する制度
    2. ② 週又は月の所定労働時間を短縮する制度
    3. ③ 週又は月の所定労働日数を短縮する制度
    4. ④ 労働者が個々に勤務しない日又は時間を請求することを認める制度
  2. 2)フレックスタイム制
  3. 3)始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ
  4. 4)所定外労働をさせない制度
  5. 5)託児施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与

5.育児休業申出者や取得者に対する解雇や契約更新拒否など不利益扱いの禁止【第10条】


事業主は、労働者が育児休業申出をし、又は育児休業をしたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはなりません。

 

【労働基準法】

1.産前産後休業中とその後30日間は解雇できません。【第19条】
(※雇止めの可否⇒有期雇用者に対する解雇権濫用法理の類推適用)

【男女雇用機会均等法】

1.女性労働者が婚姻し、妊娠し、出産したことを理由として、期間を定めて雇用される者について、契約の更新をしないことは禁止されています。【第9条】

  (長野労働局HPより)
:有期労働者が産前産後休業を取得することにより、契約期間の全てについて全く役務の提供ができない場合に契約を更新しないことも不利益な取扱いに該当するのでしょうか。
:労働者が産前産後休業を取得することにより、次の契約期間の全てについて全く役務の提供ができない場合に契約を更新しないことについて、妊娠等していなければ契約更新されていたと考えられる場合は、当該雇止めは妊娠等を理由とする不利益な取扱いに該当します。


書面又は口頭で労働契約の更新可能性が明示されている場合には、契約満了日までに産前産後休暇に入った場合に、当該労働者の次の契約更新を、妊娠したこと・産前産後休暇を取得したこと、を理由としては、次の更新を拒むことはできないのです!


「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」(法律ではなく行政通達)

1.契約締結時の明示事項など

  1. ①更新の有無の明示
  2. ②判断の基準の明示

2.雇止めの予告
有期労働契約(あらかじめ当該契約を更新しない旨明示されているもんを除き、且つ、1年を超えて継続して雇用されている労働者にかぎります)を更新しない場合には、少なくとも契約の期間が満了する日の30日までにその予告をしなければなりません。
※雇止めの予告については、平成20年3月以降、1年を超えて継続して雇用されている労働者に、「3回以上契約を更新した労働者」が加わることとなっています。

3.雇止めの理由の明示

4.契約期間についての配慮
パートタイム労働法の記事を参照して下さい。

雇用保険法

有期雇用労働者に関連する雇用保険の特定受給資格者要件として、以下の2つがあります。
① 期間の定めのある労働契約の更新により3年以上 引き続き雇用されるに至った場合において当該労働契約が更新されないことと なったことにより離職した者
② 期間の定めのある労働契約(当該期間が1年未満のものに限る。)の締結に際し当該労働契約が更新されることが明示された場合において当該労働契約が更新されないこととなったこと(1年以上引き続き同一の事業主の適用事業に雇用されるに至った場合を除く。)により離職した者