労務管理勉強室 2010年5月19日掲載    ◆この記事は3ページあります
< Prev123Next >

 出産育児に関する手続きと必要な措置(1/3)


女性が少ない事業所様、従業員数が少ない事業所様、設立間もない事業所様等において、初めて女性社員が妊娠してしまった場合、会社は何をどうすればいいのか、法律はどうなっているのか、など経営者の方や人事総務ご担当者がお困りの場合もあると場合もあると思います。

少子化対策もあり、出産・育児に関する法律や手続きは、度重なる改正があるのも混乱を招く要因となっています。

そこで、今回は、「出産→育児休業→復帰」という流れにおいて、関わる法律と手続き、会社がしなければならないことなどについて、考えていきましょう。

◆出産に関して

1.根拠条文

労働基準法の産前産後休暇(第65条)

(産前)
使用者は、6週間(多胎妊娠の場合は、14週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合には、その者を就業させてはならない。
(産後)
使用者は、産後8週間を経過しない女性を就業させてはならない。ただし、6週間を経過した女性が就業を請求した場合には、医師の支障がないと認めた業務に就かせることは、差し支えない。


2.健康保険の給付

【出産育児一時金】

  • ●1児につき42万円(産科医療補償制度に加入していない医療機関での出産の場合は39万円)支給されます。(死産の場合は、妊娠4カ月以上に)
  • ●平成21年10月より、協会けんぽから病院への直接支払制度(本人が一旦支払って一時金を請求する形ではなく、病院へ直接支払われる形の給付)ができました。
  • ●直接支払制度を利用する場合は、被保険者若しくは会社が何か手続きする必要はありません。
  • ●ただし、出産に係る費用が42万円(又は39万円)より少なかった場合には、その差額について請求することができます。
  • ●ただし、直接支払制度は対応していない医療機関もあります。その場合は、従来通り、一旦病院で支払を済ませてから出産育児一時金の支給申請をします。なお、この制度導入にともない事前申請の手続きがなくなりました。
  • ●健康保険の扶養になっている人についても、支給されます。

◆手続き書類・・・健康保険出産育児一時金内払金支払依頼書・差額申請書(PDF)
        健康保険出産育児一時金支給申請書(PDF)

◆必要な添付書類

  • ・健康保険出産育児一時金内払金支払依頼書・差額申請書はなし。
  • ・健康保険出産育児一時金支給申請書の場合は、
    • ・医療機関へ支払った金額の領収書の写し
    • ・医療機関等から交付される直接支払制度に係る代理契約に関する文書のコピー(直接支払制度を対応していないことについて患者に対して交付されます。)

【出産手当金】

出産のため休業し、賃金を受けられない場合に、産前産後期間について、ご本人の標準報酬の2/3相当額が支給されます。

  • 支給期間は、産前42日(多胎妊娠の場合は98日)、産後56日。(※出産日は、産前)
  • 産前休業開始日は、”出産予定日”の41日前(多胎妊娠の場合は97日前)です。
  • 産後休暇については、”実出産日”の翌日から56日となるので、出産予定日より遅れて出産した場合には、遅れた日数分についても出産手当金が支給されます 例えば、7日遅れて出産した場合は、産前42日に7日分が加算されることになります。
  • 支給金額は、標準報酬日額の2/3相当額
  • 賃金が支払われた場合には、出産手当金との差額が支払われます。賃金が出産手当金より多い場合には、出産手当金は支払われません。

▼支給例
出産日及び出産予定日=平成22年2月6日・標準報酬月額20万円の場合

1日当たりの支給金額=4,444円
産前休業期間:平成21年12月27日〜平成22年2月6日=42日
4,444円×42日= 186,648円
産後休業期間:平成22年2月7日〜平成22年4月3日=56日
4,444円×56日= 248,864円

◆手続き書類・・・健康保険出産手当金支給申請書(PDF)

◆必要な添付書類

  • ・出勤簿
  • ・賃金台帳など


3.健康保険の適用手続き


【扶養に入れる】

生まれた子を健康保険の扶養に入れる手続きが必要です。夫妻ともに被保険者である場合、通常は収入が多い方の扶養に入れることになります。なお、国民健康保険の場合は、扶養という考え方はありませんので、世帯に加入する形となります。

◆手続き書類・・・健康保険被扶養者(異動)届(PDF)


< Prev123Next >