労務管理勉強室 2010年5月19日 ◆この記事は3ページあります
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出産育児に関する手続きと必要な措置(2/3) |
◆育児休業に関して
1.根拠条文
育児介護休業法の育児休業 (第5条)
【1】労働者は、その養育する1歳に満たない子について、その事業主に申し出ることにより、育児休業をすることができる。ただし、期間を定めて雇用される者にあっては、次の各号のいずれにも該当するものに限り、当該申出をすることができる。
- (1)当該事業主に引き続き雇用された期間が1年以上である者
- (2)その養育する子が1歳に達する日(以下この条において「1歳到達日」という。)を超えて引き続き雇用されることが見込まれる者(当該子の1歳到達日から1年を経過する日までの間に、その労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないことが明らかである者を除く。)
【2】前項の規定にかかわらず、育児休業(当該育児休業に係る子の出生の日から起算して8週間を経過する日の翌日まで(出産予定日前に当該子が出生した場合にあっては当該出生の日から当該出産予定日から起算して8週間を経過する日の翌日までとし、出産予定日後に当該子が出生した場合にあっては当該出産予定日から当該出生の日から起算して8週間を経過する日の翌日までとする。)の期間内に、労働者(当該期間内に労働基準法(昭和22年法律第49号)第65条第2項の規定により休業した者を除く。)が当該子を養育するためにした前項の規定による最初の申出によりする育児休業を除く。)をしたことがある労働者は、当該育児休業を開始した日に養育していた子については、厚生労働省令で定める特別の事情がある場合を除き、同項の申出をすることができない。
【3】労働者は、その養育する1歳から1歳6か月に達するまでの子について、次の各号のいずれにも該当する場合に限り、その事業主に申し出ることにより、育児休業をすることができる。ただし、期間を定めて雇用される者であってその配偶者が当該子の1歳到達日において育児休業をしているものにあっては、第1項各号のいずれにも該当するものに限り、当該申出をすることができる。
- 一.当該申出に係る子について、当該労働者又はその配偶者が、当該子の1歳到達日において育児休業をしている場合
- 二.当該子の1歳到達日後の期間について休業することが雇用の継続のために特に必要と認められる場合として厚生労働省令で定める場合に該当する場合
2.社会保険料の免除
生後1歳に満たない子を養育するため育児休業した場合には、健康保険料、厚生年金保険料が、事業主負担分、本人負担分ともに免除されます。
- 免除されるのは、原則としては、育児休業開始日の属する月〜育児休業終了日(子の1歳の誕生日の前日)の属する前月まで
- 子が1歳を超えても、会社に3歳までの育児休業がある場合には、3歳まで免除されます。この場合、延長の届出をする必要があります。
- パパ・ママ育休の場合は、子の1歳2ヶ月までの、実際の取得した育児休業期間が免除期間となります。
- 育児休業から復帰した場合には、復帰した日の属する前月までが免除されます。
- 予定より早く復帰した場合には、終了届を提出しなければなりません。
◎免除例:育児休業期間 平成22年4月4日〜23年2月5日
免除期間:平成22年4月分〜23年1月分の10カ月分
◆手続き書類・・・育児休業等取得者申出書(新規・延長:PDF)
育児休業等取得者終了届(PDF)
3.雇用保険の給付
【育児休業基本給付金】
生後1歳未満の子、パパ・ママ育休の場合は1歳2ヶ月未満の子(平成22年6月30日以降)、さらに特定の場合は1歳6ヶ月未満の子を養育するため育児休業をした者に対しては、育児休業基本給付金が支給されます。ただし、育児休業終了後に離職することが予定されている者には、支給されません。
- 被保険者期間が1年以上あり、過去2年間に賃金支払基礎日数11日以上の月が12カ月以上ある者
- 休業期間の支払賃金が、休業開始時賃金月額の50%以下となる場合或いは賃金がまったく支給されない場合、又は20日以上全日休業している場合には、休業開始時賃金月額の50%の額が支給されます。
- 休業期間の支払賃金が、休業開始時賃金月額の50%を超え80%未満の場合は、休業開始時賃金月額の80%相当額と賃金の差額が支給されます。
- 80%以上賃金が支給される場合は、支給されません。
- 保育所における保育の実施が行われないなどの理由により、子が1歳に達する日以後も、育児休業を取得する場合には、1歳6ヶ月に達する前日まで、延長が可能です。その際は、延長する理由の事実証明を職安に提出します。
- 男性も対象です。
- 2カ月に1度、2カ月分をまとめて申請することになります。(公共職業安定所の指定した時期)
- 休業開始時賃金月額とは・・・
- ・休業開始前6カ月間に支払われた賃金(1カ月の賃金支払基礎日数が11日以上ある場合をいう)の総額を、180日で除して算出した額の30日分の額です。
- ・男性の育児休業開始日は、産後休業がないため、出産の日からとなります。(休業開始が、出産日後の場合はその日から)
- 平成22年3月31日までに育児休業を開始した人については、休業開始時賃金月額の30%に相当する育児休業基本給付金が支給され、復帰して6ヶ月経ってから、育児休業基本給付金の支給対象期間に対して20%に相当する育児休業復帰基本給付金が支給されます。
◎支給例:休業開始時賃金月額が20万円の場合
賃金を支払わない場合
1ヶ月分=20万円×50%=10万円
支給期間:出産日を平成22年2月6日とすれば、
支給対象期間=育児休業期間の22年4月4日〜23年2月4日
(子の1歳の誕生日の前々日まで)
◆手続き書類
初回・・・育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書
雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書(育児・介護)
2回目以降・・・育児休業給付金支給申請書
◆必要な添付書類
- ・母子手帳の写し(父母の名前、子の氏名生年月日がわかるページ)
- ・振込銀行の証明印か、通帳の写し
- ・賃金台帳
- ・出勤簿
【育児休業者職場復帰基本給付金】
育児休業基本給付金の受給者が、育児休業終了後、被保険者として引き続き6カ月間雇用された場合に、一時金として支給されます。平成22年4月1日以降に育児休業を開始した方については、育児休業期間中に50%が支給されますので、この復帰基本給付金の制度はありません。
- 休業開始時賃金月額の20%相当額×育児休業基本給付金の支給対象期間数
- 申請は、育児休業の終了後、6カ月を経過した月の翌月から起算して2カ月を経過する日の属する月の翌日の末日までです。
◆手続き書類・・・育児休業者職場復帰基本給付金
◆必要な添付書類
【育児休業等終了時報酬月額変更】
育児休業等を終了した際に、育児短時間勤務などにより賃金が変動した場合は、申出により育児休業等終了後3カ月間の標準報酬月額を基に標準報酬月額の改定を行うことができます(育児休業等終了時改定)
- 月額変更のように、2等級以上の変更は必要なく、1等級でも変更があれば適用されます。
また、3ヶ月とも支払基礎日数が17日以上ある必要もありません。
◎報酬の計算例
- 平成23年2月6日育児休業から復帰
- 給与計算締日=末日
- 給与支払日=翌15日
- 育児休業等期間中は給与の支払いはない
給料支払日 |
支払基礎日数 |
給与(報酬月額) |
3月15日 |
0日 |
0円 |
4月15日 |
17日 |
140,000円 |
5月15日 |
28日 |
200,000円 |
育児休業終了後標準報酬=(140,000+200,000)÷2=170,000
標準報酬月額=170千円で、保険料が決定される。
◆手続き書類・・・育児休業等終了時報酬月額変更届(PDF)
◆必要な添付書類
【養育期間における従前標準報酬月額みなし措置】
育児休業後、短時間勤務に移行したり、時給制に変わるなどして、休業に入る前の標準報酬より下がった場合に、3歳に達する迄又は次の育児休業に入るまでは、保険料は安くなっても、年金の計算においては、従前の高い標準報酬を適用する措置です。
- 本人の申し出に基づいて、厚生年金保険養育期間標準報酬月額特例の申請を行います。
◆手続き書類・・・厚生年金保険養育期間標準報酬月額特例申出書(PDF)
◆必要な添付書類
- ・”戸籍抄本”など子の生年月日及び子と申出者との身分関係を明らかにすることができるもの
- ・”住民票の写し”など申出者が子を養育していたことがわかる書類
【育児休業復帰後に勤務時間短縮措置により、賃金が下がった場合のフロー例】
- 第1子育児休業終了後の職場復帰で、第1子養育のための勤務時間短縮等の措置が採られ、そのことによって、賃金月額が●円から▲円に低下した
↓
- 『育児休業等終了時報酬月額変更届』(PDF)及び『厚生年金保険養育期間標準報酬月額特例申出書』(PDF)を提出
↓
- 保険料は低下後の賃金▲円に基づいて計算される ⇒ 保険料は○円
年金受給額の基となる賃金額は、下がる前の●円と見なす
↓
↓ ★この間に第2子の育児休業が開始されたら、その時点で6へ
↓
- 勤務時間短縮等の措置が終わる
↓
- 特例適用の終了
↓
- 新たな賃金額に基づいて、標準報酬月額を割り当てし直す
3ヶ月経って月額変更届(又は算定基礎届となる場合あり)を提出 ⇒ 保険料は◇円
↓
- 以降、保険料は◇円
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