役立ちNEWS解説 2008年12月15日掲載/2009年6月24日更新 ◆この記事は6ページあります
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 中小企業緊急雇用安定助成金:その1


金融危機及び未曾有の不況の中、雇止めや賃金カット等をやむなく実施しなければならない事業所様もあるでしょう。人件費の削減を銀行からの融資要件にされるケースもあります。
また雇用は何とか確保しながら生産調整で乗り切るために、一時帰休や出向を選択される事業所様もあると思います。
このような企業様は、『中小企業緊急雇用安定助成金』の申請を検討されてはいかがでしょうか。
景気悪化の中の雇用対策として、平成20年12月より、従来の『雇用調整助成金』の、支給要件が緩和され、大幅に助成率と支給額が引上げられた『中小企業緊急雇用安定助成金』となりました。


この助成金の概要

急激な資源価格の高騰や景気の変動などの経済上の理由による企業収益の悪化から事業活動の縮小を余儀なくされた中小企業事業主であって
②その雇用する労働者を、一時的に休業、教育訓練又は出向させた場合に、休業、訓練、出向にかかった手当や賃金の一部が助成されます。


支給要件

次の2つの要件を満たす必要があります。

▼生産指標
①生産量(額)、販売量(額)などの事業活動を示す生産指標の最近3ヶ月の月平均値がそれ以前の直前3ヶ月又は前年同期に比べ減少していること。
②前期決算等の経常利益が赤字であること(但し、①が5%以上減少している場合は、この要件は必要ありません)
▼雇用量
①最近3ヶ月間の雇用保険被保険者数の平均が、前年同期と比較して増加していないこと。⇒12月26日より、この雇用量の要件がはずれることになりました!(12月9日に遡って適用されました)

★2月6日より支給要件がさらに緩和されました。詳細はこちら(本記事の3頁目)をご覧ください。


支給額

▼休業
休業手当、又は賃金に相当する額として厚生労働大臣の定める方法により算定した額(通常はこちらになる)の5分の4。 ただし、1人1日当たり雇用保険基本手当日額を限度とする。
▼教育訓練
1人1日当たり、6,000円
▼出向
出向元事業主の負担額(この負担額が出向前の賃金の2分の1を超える場合は、2分の1が限度)の5分の4。 ただし、1人1日当たり雇用保険基本手当日額を限度とする。

受給のための手続

まず、休業・教育訓練、出向を開始するまでに、計画書の提出と、受給可能な事業主であることについての申し出をする必要があります。
その後、休業・教育訓練の場合は、判定基礎期間(原則として給与算定期間)ごとに、出向の場合は、6ヶ月を1期、次の6ヶ月の2期としてそれぞれの期ごとに、支給申請します。

  提出する書類 提出日
事前届出 ・ 休業等実施計画(変更)届 様式第1号(1)+添付書類

・雇用調整実施事業所の事業活動及び雇用の状況に関する申出書 様式第1号(2)+添付書類
初回は、雇用調整初日の2週間前まで。その後、変更があれば、都度

初回の休業等実施計画(変更)届提出時に
・出向実施計画(変更)届 様式第2号(1)+添付書類


・雇用調整実施事業所の事業活動及び雇用の状況に関する申出書 様式第1号(2)+添付書類
初回は、出向を開始する日の2週間前まで。その後、変更があれば、都度

初回の出向実施計画(変更)届提出時に
支給申請 ・ 雇用調整助成金(休業等)支給申請書 

様式第5号(1)(2)
休業実施結果表任意様式(A)を提出した場合は、5号(3)(4)は提出不要

判定基礎期間ごとにその末日の翌日から1ヵ月以内
・雇用調整助成金(出向)支給申請書+添付書類 出向開始日から起算して6ヵ月ごと各期経過後2ヵ月以内

事前届出にも支給申請にも、様々な添付書類が必要になります。添付書類は、各都道府県によって異なる可能性がありますが、例えば、京都においては、”一時帰休の場合の助成金申請”に関して、以下のような書類が必要となります。(ただし、H20年12月26日時点での情報であるため、変わる可能性もあります)


初回計画時に必要な添付書類

  • 休業協定書(過半数労働組合又は労働者の過半数を代表する者との協定)
  • 労働者の過半数を代表する者であることの証明となる委任状(過半数労働組合がない場合)=「従業員代表選任書」等
  • 休業予定(変更)一覧表(大阪はかなり前から提出の必要がありませんでしたが、平成21年3月以降、京都で提出の必要がなくなりました)
  • 会社案内やパンフレット
  • 法人税確定申告書の写し
  • 定款の写し
  • 会社組織図
  • 労働者名簿
  • 就業規則
  • 賃金規程
  • 年間休日カレンダー
  • 最近3ヶ月及び前年同期の各月ごとの生産高(売上高)を確認できる資料(例:総勘定元帳、月次決算表など)
  • 労働保険概算・確定保険料申告書及び集計表
  • 労働保険概算・確定保険料領収書

支給申請時に必要な添付書類

  • 休業手当支給確認書
  • 労働者全員の出勤簿又はタイムカード
  • 賃金台帳
  • 休業実施(実績)表
  • 休業日に連続する年次有給休暇、特別休暇、業務出張等がある場合にはこれを証明できる書類

当該助成金を受給するためには、一定の準備が必要となります。また、この助成金は、12月26日発表で、突然支給要件が変わったように、添付書類なども含めて、具体的な点がまだ変わる可能性がありますので、つど、ハローワーク等へ問い合わせすることも必要でしょう。

事前届出や申請のための書類作成は大変手間がかかりますし、支給後の調査なども厳しいようですが、一時帰休や出向で何とか雇用を守りつつこの不況を乗り切りたいとお考えの企業は、ご利用を考えてみられてはいかがでしょうか。

なお、この助成金について、詳しく書かれたリーフレットはこちら(PDF) からダウンロードできます。


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