▼年俸について |
Q1: 当社は管理職者には、年俸制を適用しています。年俸制なので残業代は支払う義務はないと思うのですが、問題はないでしょうか?
Q2: 年俸制を適用されている社員ですが、残業代は支給されておりません。年俸額のわりには残業が多く、他の社員と一緒に残業代を支給して欲しいと会社に申し入れたのですが、年俸には、月40時間分の残業代を含んでいるという回答を受けました。そのとき初めて聞きましたが、残業代を含む年俸制というのは認められるのでしょうか
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Q3: 管理監督者等に該当しない年俸者には、時間外労働に応じた割増賃金を支払わなければならないということですが、単価はどのように計算するのでしょうか?
Q4: 当社は、年俸について、18等分して、18分の1を毎月支給し、残りの18分の6について、18分の6ずつ、夏季賞与及び冬季賞与に支払っています。賞与相当分は計算基礎からはずしてもいいのでしょうか?
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Q1:当社は管理職者には、年俸制を適用しています。年俸制なので残業代は支払う義務はないと思うのですが、問題はないでしょうか? |
A1:このように勘違いされている会社がまだまだ多いです。まず、年俸制は残業代がいらない賃金の支払い方であるという点は、大きな誤解です。年俸制であっても、残業代を支払う義務はあります。
なお、このご質問の管理職者が、労働基準法41条における管理監督者であった場合は、時間外労働、休日労働についての割増賃金を支払う義務はありませんが、深夜労働に関する割増賃金は支払う必要があります。
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Q2:年俸制を適用されている社員ですが、残業代は支給されておりません。年俸額のわりには残業が多く、他の社員と一緒に残業代を支給して欲しいと会社に申し入れたのですが、年俸には、月40時間分の残業代を含んでいるという回答を受けました。そのとき初めて聞きましたが、残業代を含む年俸制というのは認められるのでしょうか
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A2:年間の割増賃金額をあらかじめ年俸のなかに含めて支払う、いわゆる割増賃金の定額払いも違法ではないが、その場合は、年俸額のなかの割増賃金部分を明確に区分するとともに、その割増賃金部分が実際の時間外労働等に対する法定の割増賃金額に満たない場合には、その差額を支払うことが必要となります。
また、年俸中の割増賃金部分が区分して示されていなかったものを、あとになって含まれているといっても認められません。すなわち、月給において定額残業代を支払った場合と同様の考え方になります。
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Q3:管理監督者等に該当しない年俸者には、時間外労働に応じた割増賃金を支払わなければならないということですが、単価はどのように計算するのでしょうか? |
A3:管理監督者等に該当しない年俸者の割増賃金単価は、年俸額をもとに算定することになります。割増賃金単価の計算方法は、労働基準法施行規則第19条に、時間給、日給、週給、月給等の別に定められており、
例えば月給の場合は、次のようになります。
割増賃金単価= |
月給額(※) |
1年におけるひと月の平均所定労働時間 |
※割増算定対象となるもののみで、家族手当、別居手当、通勤手当、臨時で支払われた手当、単身赴任手当は含みません。
さらに、労働基準法施行規則第19条第1項第5号は、月、週以外の一定の期間によって定められた賃金については、前各号に準じて算定した金額としていることから、
年俸制の場合は、次のようになります。
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Q4:当社は、年俸について、18等分して、18分の1を毎月支給し、残りの18分の6について、18分の6ずつ、夏季賞与及び冬季賞与に支払っています。賞与相当分は計算基礎からはずしてもいいのでしょうか? |
A4:例えば900万円という年俸額で、毎月50万円支払われていますが、例え”賞与”という名称が支払われていても、残りの18分の6=300万円も年俸のうちの確定した金額となります。
行政通達では、この年俸のうちの賞与について、「賞与として支払われている賃金は、労働基準法施行規則第21条第4号の『臨時に支払われた賃金』及び同条第5号の『1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金』のいずれにも該当しないものであるから、割増賃金の算定基礎から除外できない」(平成12.3.8 基収第78号)としています。
このようにあらかじめ確定しているものは、労働基準法上は、賞与に該当せず、割増賃金の基礎から除外することはできないとされています。したがって、ご質問の例では、以下で求めた金額が、割増賃金の単価となります。
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