人事労務担当者のための労務相談Q&A



▼健康保険(保険料)について

Q1: 育児休業だった当社の社員が先月復帰し、勤務時間短縮制度を利用しています。育児休業をとる前に比べ、随時改訂の要件の2等級ほどではありませんが、給与が若干下がりました。先般の法改正で育児休業の取扱いが変わったと聞きましたが、該当する規定があるのでしょうか。あるいは、育児休業前の標準報酬月額のままでよいのでしょうか?

Q2: 賞与の社会保険料はどのようにして計算するのですか?new

 

Q1: 育児休業だった当社の社員が先月復帰し、勤務時間短縮制度を利用しています。育児休業をとる前に比べ、随時改訂の要件の2等級ほどではありませんが、給与が若干下がりました。先般の法改正で育児休業の取扱いが変わったと聞きましたが、該当する規定があるのでしょうか。あるいは、育児休業前の標準報酬月額のままでよいのでしょうか?

A1: 3歳未満の子を養育する被保険者が育児休業等を終了し、職場復帰に、育児・介護休業法の勤務時間短縮等の措置を利用する場合がありますが、多くの企業では、短縮した分を時間換算して減給しているため、従前の給与額より低下することになります。

従来、育児休業の終了時については、標準報酬月額の基礎となる報酬月額が2等級以上変動しない限り標準報酬月額の改定は行われませんでした。よって、標準報酬月額の改定がなされず、従前の高いままの標準報酬月額が用いられている場合がありました。

平成17年4月より、報酬月額が2等級以上の変動とならない場合でも、育児休業等終了日において3歳未満の子を養育している被保険者が、事業主を経由して保険者に申出をすることにより、標準報酬月額の改定ができるようになりました。

育児休業等終了日の翌日が属する月以後3ヶ月間(育児休業等終了日の翌日において使用される事業所で継続して使用された期間に限り、かつ報酬支払基礎日数が17日未満の月があるときは、その月を除く)に受けた報酬の総額を、その期間の月数で除して得た額を報酬月額とします。これは、平成17年4月1日以後終了した育児休業等について適用されます。

育児休業等終了時改定の要件に該当したときは、育児休業等終了日の翌日から起算して2月を経過した日の属する月の翌月から標準報酬月額が改定されます。

育児休業等終了後の標準報酬月額の改定
▼育児休業終了▼
  4月 5月 6月 7月
報酬支払い
基礎日額
17日 以上 17日 以上 17日 以上 →改定

例えば4月の報酬支払い基礎日数が17日未満の場合は、5・6月の2ヶ月で改定します。

新しい標準報酬月額は、1月から6月までの間に育児休業等終了時改定をされる場合は、その年の8月までの標準報酬月額とされ、7月から12月までの間の育児休業等終了時改定をされる場合は、翌年の8月までの標準報酬月額とされます。
ただし、上記期間内に随時改定または育児休業等終了時改定が行われるときは、その改定月の前月までとなります。

被保険者の申出に基づき、事業主は「健康保険・厚生年金 育児休業等終了時報酬月額変更届」を、育児休業等終了の翌日が属する月以後3カ月経過後、速やかに事業所の管轄社会保険事務所に届け出る必要があります。

 

Q2: 賞与の社会保険料はどのようにして計算するのですか?

A2: 賞与における社会保険料について、計算の元になるのは、支払った賞与の金額そのものではなく、標準賞与額(=実際の賞与額から1,000円未満を切り捨てた額)となります。
この標準賞与額には、上限があり、それが健康保険と厚生年金保険で異なる点も要注意です。

  • ◆健康保険…標準賞与額は1年間(4月から翌年3月まで)通算して540万円が限度
  • ◆厚生年金…標準賞与額は1回につき150万円が上限

また、実際控除する社会保険料の個人負担分は、特別の定めのない場合は、小数点以下は「50銭以下切捨て 51銭以上切り上げ」とすることになります。
以下に計算の事例を示します。

【事例】 賞与額1,835,500円、45歳の従業員の場合の控除額

(1)健康保険料・介護保険料の控除額(保険料率は、京都府の平成23年3月分以降の値)
●45歳以上であるため介護保険料も必要
  1,835,000円 × 11.01/100 × 1/2 = 101016.75円
小数点以下は50銭以下切捨て 51銭以上切り上げなので、101,017円

(2)厚生年金保険料の控除額(保険料率は、平成22年9月分以降の値)
●厚生年金保険料については上限が、150万円であるため、
標準賞与額=1,500,000円
1,500,000円 × 16.058/100 × 1/2 = 120,435円