人事労務担当者のための労務相談Q&A



▼育児休業制度

Q1: 育児休業とは何ですか?

Q2: 育児休業はすべての労働者に与えなければいけませんか?

Q3: 労使協定により対象から除外することができる労働者の範囲は?

Q4: いつまでに休業の申出があれば、希望する日から休業させなければいけませんか?

Q5: 育児休業の申出は、口頭で行えばよいのですか?

Q6: 育児休業の取得期間について、1か月単位と規定したり、休業期間を事業主が指定することはできますか?

Q7: 育児休業を一度取得した後に、再度同じ子のために育児休業を取得することはできますか?

Q8: 休業期間の変更(延長・短縮)はできますか?

Q9: 休業に入る前に休業を取りやめることはできますか?

 

Q1: 育児休業とは何ですか?

A1: 労働者が原則としてその1歳に満たない子を養育するために取得する休業をいいます。また、一定の場合、子が1歳6か月に達するまでの間、育児休業をすることができます。 1歳6か月まで育児休業ができるのは、次の(1)、(2)のいずれかの事情がある場合です。

  • (1) 保育所に入所を希望しているが、入所できない場合
  • (2) 子の養育を行っている配偶者であって、1歳以降子を養育する予定であったものが、死亡、負傷、疾病等の事情により子を養育することが困難になった場合
育児休業中の労働者が継続して休業するほか、子が1歳まで育児休業をしていた配偶者に替わって子の1歳の誕生日から休業することもできます。

 

Q2: 育児休業はすべての労働者に与えなければいけませんか?

A2: 育児休業の申し出ができる労働者は、日々雇用者を除くすべての男女労働者が原則です。 しかし、事業主とその事業所の過半数の労働者を代表する者との書面による労使協定を締結すれば、この他にも一定の範囲の労働者を育児休業の対象者から除外することができます。 また、休業の取得によって雇用の継続が見込まれる一定の範囲の期間雇用者も育児休業がとれます。育児休業の対象となる一定の範囲の期間雇用者とは、申出時点において、次の(1)、(2)のいずれにも該当する労働者です。

  • (1) 同一の事業主に引き続き雇用された期間が1年以上であること
  • (2) 子が1歳に達する日(誕生日の前日)を超えて引き続き雇用されることが見込まれること(子が1歳に達する日から1年を経過する日までに労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかである者を除く)

なお、労働契約の形式上期間を定めて雇用されている者であっても、その契約が実質的に期間の定めのない契約と異ならない状態となっている場合には、上記の一定の範囲に該当するか否かにかかわらず、育児休業の対象となります。

 

Q3: 労使協定により対象から除外することができる労働者の範囲は?

A3: 労使協定により対象から除外することができる労働者は次のものに限定されています。

  • 1.勤続1年末満の者
  • 2.労働者の配偶者が常態として育児休業に係る子を養育できると認められる場合
  • 3.申し出の日から1年以内に雇用関係が終了することが明らかである労働者
  • 4.1週間の所定労働日数が2日以下である労働者
  • 5.内縁の妻(夫)等が常態として育児休業に係る子を養育できると認められる場合

 

Q4: いつまでに休業の申出があれば、希望する日から休業させなければいけませんか?

A4: 1歳までの育児休業については、希望する日から育児休業するためには、労働者は、1か月前に書面で申し出ることが必要です。
また、1歳から1歳6か月までの育児休業については、休業開始予定日(1歳の誕生日)から希望通り休業するには、その2週間前までに申し出ることが必要です。出産予定日前に子が出生した場合や、子の養育に当たる予定であった配偶者の死亡等、突発的な事由が起こった場合は1週間前の申出でよいこととなっています。
しかし、休業申出が遅れたことを理由に休業の申出を拒否することはできません。
申出日と開始希望日の間が1か月を切る場合は、会社が開始日を指定することができます。この場合の開始日は、休業開始希望日と申出から1か月経過する日との間のいずれかの日を指定して下さい。

 

Q5: 育児休業の申出は、口頭で行えばよいのですか?

A5: 育児休業を取得したい労働者は、育児休業に係る子の氏名・生年月日・続柄、休業開始希望日及び終了予定日などを明らかにした書面で申し出ることが必要です。

 

Q6: 育児休業の取得期間について、1か月単位と規定したり、休業期間を事業主が指定することはできますか?

A6: 休業期間は、原則本人の希望する期間ですから、設問のような規定を設けることはできません。また、休業期間について事業主が決めることができるのは、休業の申出が遅れた場合に開始日を指定する場合のみです。

 

Q7: 育児休業を一度取得した後に、再度同じ子のために育児休業を取得することはできますか?

A7: 会社の制度が法律を上回る措置として、分割取得を認めていれば可能となります。
なお、申出の回数は、特別の事情がない限り1人の子につき1回であり、申し出ることのできる休業は連続した一まとまりの期間の休業です。双子以上の子であっても、1子として取扱います。
ただし、期間を定めて雇用される労働者が育児休業をする場合、現在締結されている労働契約期間の末日まで休業した後、労働契約の更新に伴って更新後の労働契約期間の初日を育児休業開始予定日とする申出をする場合は、再度の申出をすることができます。
また、1歳以降の育児休業の申出は、1歳に達するまでの育児休業の申出の回数とは別にカウントされます。

 

Q8: 休業期間の変更(延長・短縮)はできますか?

A8: 出産予定日前に子が生まれる等の突発的事由(法律が限定)が生じて、休業開始日を前に持っていく期間の延長と、休業終了日を繰り下げて休業期間を延長することは、それぞれ1回に限り可能です。
しかし、開始日の繰り下げあるいは終了日の繰り上げという期間の短縮は、法律に規定されていませんので、会社が認めない限りできません。

 

Q9: 休業に入る前に休業を取りやめることはできますか?

A9: 労働者が、休業開始前に申出を撤回することはその理由を問わずできますが、撤回後に再度の休業を申出ることは、原則できないことに注意が必要です。配偶者が死亡した場合等、突発的事由に限り再度の申出が可能となっています。