人事労務担当者のための労務相談Q&A



▼介護休業制度

Q1: 介護休業とは何ですか?

Q2: 介護休業はすべての労働者に与えなければいけませんか?

Q3: 労使協定を結べば、対象から除外することができる労働者があるそうですが、どういった人ですか?

Q4: どの範囲の家族が介護休業の対象となりますか?

Q5: いつまでに休業の申出があれば、希望する日から休業させなければいけませんか?

Q6: 介護休業の申出は、口頭で行えばよいのですか?

Q7: 申出の際に、事実確認のための証明書を提出するよう義務づけてもよいでしょうか ?

Q8: 介護休業は、どのくらいの期間休業できるのですか?

Q9: 休業期間の変更(延長・短縮)はできますか?

Q10: 休業に入る前に休業を取りやめることはできますか?

 

Q1: 介護休業とは何ですか?

A1: 負傷、疾病又は身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態にある対象家族を労働者本人が介護するための休業をいいます。
その名称から、介護保険における要介護認定を受けている人と勘違いをされるケースが多いようですが、要介護認定を受けているかどうかは、介護休業の取得には関係ありません。

 

Q2: 介護休業はすべての労働者に与えなければいけませんか?

A2: 介護休業の申出ができる労働者は、日々雇用者を除くすべての男女労働者が原則です。
しかし、事業主とその事業所の過半数の労働者を代表する者との書面による労使協定を締結すれば、この他にも一定の範囲の労働者を介護休業の対象者から除外することができます。
また、休業の取得によって雇用の継続が見込まれる一定の範囲の期間雇用者は、介護休業がとれます。介護休業の対象となる一定の範囲の期間雇用者とは、申出時点において、次の(1)、(2)のいずれにも該当する労働者です。

  • (1) 同一の事業主に引き続き雇用された期間が1年以上であること
  • (2) 介護休業開始予定日から93日を経過する日(93日経過日)を超えて引き続き雇用されることが見込まれること(93日経過日から1年を経過する日までに労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかである者を除く)

労働契約の形式上期間を定めて雇用されている者であっても、その契約が実質的に期間の定めのない契約と異ならない状態となっている場合には、上記の一定の範囲に該当するか否かにかかわらず、介護休業の対象となります。

 

Q3: 労使協定を結べば、対象から除外することができる労働者があるそうですが、どういった人ですか?

A3: 労使協定により対象から除外することができる労働者は次のものに限定されています。

  • 1.勤続1年未満の者
  • 2.申出日の日から93日以内に雇用関係が終了することが明らかな者
  • 3.1週間の所定労働日数が2日以下の者

 

Q4: どの範囲の家族が介護休業の対象となりますか?

A4: 対象家族の範囲は、配偶者(事実婚を含む)、父母、子及び配偶者の父母並びに同 居し、かつ扶養している祖父母、兄弟姉妹及び孫となっています。同居かつ扶養の要件を付けることができるのは、祖父母、兄弟姉妹及び孫に限定されていることに注意してください。

 

Q5: いつまでに休業の申出があれば、希望する日から休業させなければいけませんか?

A5: 希望する日から介護休業を始めるためには、労働者は、2週間前(休業開始希望日の2週間前の応当日)までに書面で申し出ることが必要です。
しかし、休業申出が開始希望日の直前であってもこれを理由に休業の申出を拒否することはできません。
申出日と開始希望日の間が2週間を切る場合は、会社が開始日を指定することがで きます。この場合の開始日は、休業開始希望日と、申出から2週間経過する日との間のいずれかの日を指定してください。

 

Q6: 介護休業の申出は、口頭で行えばよいのですか?

A6: 育児・介護休業法においては、「介護休業を取得したい労働者は、対象家族の状況、その続柄、休業開始日及び終了予定日などを明らかにした書面で申し出ること」が必要とされています。

 

Q7: 申出の際に、事実確認のための証明書を提出するよう義務づけてもよいでしょうか ?

A7: 労働者との続柄や要介護状態等の事実を確認するための書類の提出を労働者に求めることはできますが、労働者に過大な負担をかけることのないよう、注意が必要であり、実は強制はできないのです。従って、基本的には、労働者の申出に基づいて、介護休業を付与させる、ということに法律上はなっています。

 

Q8: 介護休業は、どのくらいの期間休業できるのですか?

A8: 介護休業は、対象家族1人につき、要介護状態に至るごとに1回、通算93日までの間で労働者が申し出た期間取得することができます。
2回目の介護休業ができるのは、要介護状態から回復した対象家族が、再び要介護状態に至った場合です。3回目以降も同様です。
対象家族1人当たりの取得日数の上限は、通算して93日までです。

 

Q9: 休業期間の変更(延長・短縮)はできますか?

A9: 休業終了日を繰り下げて、休業期間を延長することは、1回に限り可能です。
しかし、介護休業開始日の繰上げ、繰上げ変更や介護休業終了日の繰上げ変更は、法律に規定されていませんので、会社が認めない限りはできません。 終了予定日の繰り下げは、1回に限り理由を問わずできますが、当初の終了予定日の2週間前に書面で届け出ることが必要です。

 

Q10: 休業に入る前に休業を取りやめることはできますか?

A10: 労働者が、休業開始前に申出を撤回することは、その理由を問わず可能です。 また対象家族の病状の変化等のために介護休業を必要とするケースが出てくると思いますが、介護休業の撤回後の申出は同じ対象家族の同じ要介護状態について1回に限り可能です。