人事労務担当者のための労務相談Q&A



▼雇用保険(被保険者期間)について

Q1: ある従業員を7月1日から採用と決定したが、週休2日制で、たまたま7月1日と2日が所定休日となり、実際に初出社したのは7月3日となりました。この従業員の資格の取得は何日となりますか?

Q2: 4月1日から採用が決定している大学生に2月1日から来てもらっていますが、取得日はいつにしたらいいのでしょうか?

Q3: 4月1日から30日まで年次有給休暇を取って退職した者が、4月21日には他社へ就職していました。4月21日から30日までの重複して雇用された期間はどのように扱いますか ?

 

Q1: ある従業員を7月1日から採用と決定したが、週休2日制で、たまたま7月1日と2日が所定休日となり、実際に初出社したのは7月3日となりました。この従業員の資格の取得は何日となりますか?

A1: この場合は、7月1日が資格取得日になります。資格取得日は、雇用関係の成立した日で、労働者に労働の提供の義務が発生し、事業主に、その労働の対償としての賃金を支払う義務の発生した初日が雇用関係の成立した日とされるからです。
ただし、何らかの理由で資格取得届の提出が遅れ、2年を超えますと、採用の日にかかわらず、職業安定所(ハローワーク)において資格取得の確認が行われた日の2年前の日が資格取得の日となります。それ以前に雇用期間があって、保険料を支払って来ていても、被保険者であった期間には算入されないことになり、その労働者にとっては非常に不利になり、その権利が十分に保障されないことになります。
本来、資格取得届は、雇用関係の成立した日の属する月の翌月の10日までに提出することと定められていますが、これを順守し、万一、届出が遅れたたら、出来るだけ早く届け出ましょう。

 

Q2: 4月1日から採用が決定している大学生に2月1日から来てもらっていますが、取得日はいつにしたらいいのでしょうか?

A2: 通常、2月1日では、まだ大学の卒業式は終わっていないはずです。実際には、この時期になると、すでにもう授業も卒論もない状態であるような場合には、採用試験で合格を決定している企業では、場合によっては一日でも早く出社してほしい、ということもあり得ることです。本人も、早く職場に馴染んだ方がいいと思えば、卒業式を待たずに出社就業ということにもなります。したがって、2月1日に就業を開始すれば、この日から雇用関係の成立は疑いのないところになりますので、資格取得日は2月1日になります。
事業所の都合で、もう授業がないだろうからといって、早期の出社を義務付けたり、実務研修をさせることは厳に慎まなければならないことですが、本人の希望のある場合卒業見込証明書を有している者であれば、当然卒業前からでも就業してもいいわけです。

 

Q3: 4月1日から30日まで年次有給休暇を取って退職した者が、4月21日には他社へ就職していました。4月21日から30日までの重複して雇用された期間はどのように扱いますか?

A3: 従業員の退職については、いろいろむずかしい問題があり、取扱いは慎重にしなければなりません。退職のときに、残っていた年次有給休暇を全部消化してしまうということもよくあることです。すると、この設問の場合のように、30日間は出社しないで賃金だけ受けるということが生じます。
この年次有給休暇の消化中に、本人が他に就職しますと、同時に二つの事業主に雇用されることになります。この場合、雇用保険では、その者が生計を維持するに必要な主たる賃金を受ける一つの雇用関係についてのみ被保険者となるとされています。したがって、通常は新たな事業主との雇用関係が主たるものであると認められますので、後の事業主に雇用されるに至った日の前日を前の事業主との雇用関係に係る離職日として取扱われることになります。このためには、改めて、前の事業所の離職日の訂正が必要ですが、これはやむを得ないところでしょう。