人事労務担当者のための労務相談Q&A



▼健康診断について

Q1: 定期健康診断は、パート社員にも受けさせないといけませんか?

Q2: 定期健康診断は、会社が受けさせないといけないと決まっているそうですが、その費用も会社持ちとしなければならないのでしょうか?

Q3:健康診断を受けている時間の賃金は支払う必要があるのですか? 支払う必要があるとすれば、法定労働時間を超える時間帯に健康診断を実施した場合には、割増賃金まで支払う必要があるのでしょうか?

 

Q1: 定期健康診断は、パート社員にも受けさせないといけませんか?

A1: パートタイム労働者等短時間労働者については、
①1年以上雇用見込み又は雇用されている者
②1週間の所定労働時間が30時間以上又は同種の業務に従事する通常の労働者(正社員等)の3/4以上
の①及び②の両方の要件を満たす者には、一般定期健康診断を実施する義務があります。

なお、②の要件を満たさない者であっても、①の要件を満たし、1週間の所定労働時間が通常の労働者の1/2以上の者には実施することが望ましいとしています。

 

Q2: 定期健康診断は、会社が受けさせないといけないと決まっているそうですが、その費用も会社持ちとしなければならないのでしょうか?

A2: 健康診断は、安全衛生法第66条において事業者が実施するべきものとして規定されています。
1)一般健康診断
2)特定の有害業務に従事する労働者について行われる特殊健康診断

1)の一般健康診断は、さらに、
①雇入時健康診断
②定期健康診断
③特定業務従事者の健康診断
④海外派遣労働者の健康診断
⑤結核健康診断
⑥給食従業員の健康診断
の6つに分かれています。1)の一般健康診断については、実施義務を課している以上、事業者が負担すべきものと解されています(昭47.9.18基発第602号)。ご質問の定期健康診断=②は、安衛則第44条において、1年1回の実施義務が規定されています。

ただし、労働者は、”事業者が指定した医師の健康診断”を受けることまでを義務付けられていません。つまり、他の医師や歯科医師により健康診断を受けても構わないですが、その場合は、その費用について当然に負担するべきではない、すなわち支払わなくてもよいと解されています。

 

Q3: 健康診断を受けている時間の賃金は支払う必要があるのですか? 支払う必要があるとすれば、法定労働時間を超える時間帯に健康診断を実施した場合には、割増賃金まで支払う必要があるのでしょうか?

A3: 健康診断は前問のとおり、一般健康診断と、特殊健康診断に分かれております。これを実施する時間に対する賃金は、前述の通達において、
「一般健康診断については、一般的な健康の確保を目的として事業者にその実施義務を課したものであり、業務遂行との関連において行われるものではないので、その受診のために要した時間については、当然には事業者の負担すべきものではなく、労使協議して定めるべきものである」とされています。ですので、賃金の支払いについては割増賃金を支払うかも合わせて労使で協議して決定すればよいことになります。ただし、「受診に要した時間の賃金を事業者が支払うことが望ましい」と、されています。

一方、特殊健康診断については、事業の遂行に伴い、当然に実施しなければならない性格であることから、所定労働時間内に行うことが原則となります。やむを得ず時間外に行う場合には、割増賃金を支払わなければならないとされています。